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コラム

登壇企業の社名を眺めていて考えたこと

ピッチイベントを視察してきました。さまざまな事業者がプレゼンしているのを見させてもらい、社名について考えるきっかけになりました。

18社が登壇したピッチイベント

先日、地域の事業者が事業内容を披露するイベントを視察してきました。午後いっぱい18社が登壇し、自社の魅力を伝えようとするもの。最初に気づいたのはカタカナやアルファベット表記の会社名ばかりであるということ。創業間もない時期から海外展開することを見据えているのでしょうが、率直に言ってどれも似たような社名に聞こえてしまい記憶に残りません。ロゴやフォントで工夫しないと、他の多くの会社とともに混同されてしまいそうです。

もちろん、大事なのは社名よりも事業内容です。プレゼンは事前のリハーサルが徹底されていたようで、まるで流れ作業を見ているような感じ。時間を超過してダラダラ話し続ける人はおらず、ほぼ定刻通りに進行していったのは好印象でした。質疑応答もてきぱきとなされていて、まるで事前に打ち合わせをしていたかのようです(そんなことはないのでしょうが)。質問に対して、考えながら回答する人なんかいなくて、みなさん端的に答えていました。

私は自分が講演した後の質疑応答が苦手。答えているうちにどんな質問をされているかわからなくなってしまいがちです。そのため質問は必ずメモを取るようにしていて、回答はそのメモを見ながらお話しすることになります。たまに一度に複数の質問をしてくる人がいて、率直に言って困ってしまいます。次に質問をしようと待っている人もいるのだから、質問は一度に一つずつにしてもらいたいものです。

今回のイベントでも、ある事業者が質問に対して真正面から答えられない場面がありました。質問者がもう少し丁寧に言葉を選んでやればいいのにと思いつつ、質問のための質問のようにも聞こえてしまい、事業者が少し気の毒でした。質疑応答というと答えばかりが注目されますが、質問の質も問われます。援護射撃のような質問をする人もいれば、質問のための質問をするような人もいるのです。

プレゼンで社名の由来を話すな

社名に関連して、今回登壇した企業では社名の由来など話す人は皆無でした。持ち時間が5分間だったので、事業内容を説明するだけであっという間に終了してしまう感じ。余計な話をしている時間などなかったのでしょう。話しぶりは人それぞれ。淡々と話す人もいれば、少し演技掛かったような話し方をする人も。文字通り舞台に立っているのですから多少の演技は必要なのでしょうが、過剰な演技は胡散臭さを感じさせかねません。自然体が一番だと思います。

以前にある経営者のプレゼンを聞いた際、社名の由来や自己紹介で半分くらい時間を使っていてあきれ果ててしまったことがあります。まだ何者でもない、創業間もない会社の社名の由来や自己紹介など、決して優先順位の高いトピックではありません。まず聞きたいのは何をして何を目指している会社なのか、そして現在地がどこにあるのかということ。話す順番を間違えてしまうと、それだけでチャンスを逃してしまうことになりかねません。

話は逸れますが、創業間もない会社の社名はさっさと商標登録しておくべき。数万円の費用を惜しんで、後から後悔している事業者を目の当たりにしたことがあります。以前から私が商標登録するように勧めていたのに後回しにしていて、他地域の同業者に似たような名前を商標登録されてしまったのです。ニッチな事業だから社名を真似されることなどあるまいと油断していたのが間違いでした。

渡辺通一丁目の交差点

このあたりの会場で開催されたピッチイベントを視察してきました

自分が社名を考えるとしたら

もし私が創業して社名を考えるとしたら、どんな名前にするでしょうか。古語辞典や古代ラテン語からそれらしい単語を選ぶかもしれません。シンプルな単語はすでにどこかの会社が使っているでしょうから、あまり他の人が目を付けないような言葉を選ぶことになるでしょう。

そういえばかつての家業の社名は〇屋〇兵衛という屋号を縮めたものでした。江戸時代の当時は安直な名称だったのだろうなと思いますが、今となっては老舗っぽい雰囲気を想起させるものです。創業家から投資ファンドにオーナーが代わり、血の繋がらない所有者がその名前をいまだに使っているのも変な感じがするものです。そろそろ投資ファンドに事業承継して10年を迎えます。


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