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コラム

経営者が抱く万能感

経営者によっては、自信にある種の「万能感」を抱いてしまう人がいるようです。それなりの権限があり、相対的に高い報酬を得ていると中には勘違いしてしまう経営者が出てくるのでしょう。経営者の立ち居振る舞いについて書いてみます。

万能では無かった経営者

サプリメントを取り扱う会社の経営者が、合法性に疑いを持たれるようなサプリメントを購入して退任したそう。報道されている表面だけを眺めれば、あまりにも脇が甘すぎたという印象を抱いてしまいます。

会社のサプリメント自体のイメージが悪化するのが一番の問題で、さらにはこれまで築いてきた会社のクリーンなブランドイメージも大きく毀損してしまうことでしょう。違法かどうかよりも、なにかを疑われかねない振る舞いをしてしまったことに会社は呆れているはず。世間では名経営者のように取り上げられたことがあっても、このような事案を引き起こしてしまえばすべての信用を失うという良い見本です。

上場企業の経営者を歴任し実績も残すと、自身に万能感を抱いてしまうのでしょうか。周りから見れば、ぜったいに手を染めてはいけないアイテムを手に取ってしまったあたり、判断力に問題あり。彼は決して万能ではなかったようです。

ちなみに家業で雇われる立場だった頃に、この会社へノベルティ商品を納めさせてもらったことがあります。商品自体の品質はもちろん、生産管理などでもそれはそれは厳しいレベルでの業務を求められたのを今でも覚えています。ある時などは不良品が発生してしまい、説明のために本社へ伺ったことも。夜遅くまで小さな部屋に閉じ込められたのは、サラリーマン時代の思い出の一つです。

筋トレは現実逃避

ある経営者が急に筋トレを始めて驚かされたことがあります。業績が窮迫していて八方塞がりの状態に陥り、現実逃避の手段として筋トレを始めたようです。

筋トレによって自己肯定感が高まるのは良いことなのでしょうが、それだけで経営が改善されるわけではありません。その経営者は従業員との接し方に課題があったのですが、もちろん筋トレによってコミュニケーションが改善されることはありませんでした。どこか意地の悪い言葉遣いをしてしまう経営者で、従業員の心は離れていくばかり。筋トレをするくらいなら、傾聴のトレーニングでもした方がよかったでしょう。

私も簡単なトレーニングをしていますが、あくまで体のメンテナンスのためです。固くなりがちな股関節の可動域を維持したり、姿勢が悪くならないように体感を鍛えたりするのが目的。トレーニングに期待している効果は経営とはまったく関係ありません。

また別の経営者は、筋トレである種の迫力を身につけて従業員と対峙するのだとおっしゃっていました。業種によってはそうした配慮も必要なのだと勉強になりました。現場の従業員さんが元気な人揃いの場合は、たしかに経営者にも同じような、外に溢れ出さんばかりのエネルギーが求められるでしょう。

事務のトレーニングルーム

経営者が筋トレに逃げてはいけません

万能感がこじれて内に向くとパワハラになる

経営者の万能感がこじれて内に向くとパワハラとなります。ある経営者は従業員に対して、「お前のために指導してやっている」などと叱責を繰り返していましたが、私から見れば立場の弱い従業員をストレス解消の捌け口にしていただけでした。自分が社内で絶対の存在であると万能感を抱いてしまっていたようです。

そうした経営者に限って、営業はしない、プレゼン能力が低い、危機対応能力に欠けるといった感じで裸の王様状態。経営に絶対が無いように、経営者が万能であるなんて幻想に過ぎません。

家業で代表取締役を務めていた時にひしひしと実感したのは、経営者は神輿で担がれてなんぼだということ。一人で何かをどうにかできる規模などしれていて、事業を成長させていけばあっという間に従業員や取引先に助けてもらえなければ何もできなくなります。自分が万能だなんて勘違いしていたら彼ら彼女らに担いでなんてもらえません。自分の弱さをさらけ出して、身を委ねる勇気が必要でした。

根拠のない万能感は身を滅ぼしかねませんが、経験や知識に基づく自信は必要でしょう。さらには周囲の支えへの感謝の気持ちを忘れずに、謙虚な姿勢で人と接することが大切だと信じています。

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