地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

経営者と中小企業支援家の相性

中小企業支援家の仕事は経営者の「踏み台」になることだと考えています。踏み台を使って、自分だけでは手が届かないところにある成果を掴み取ってほしいのです。

自ら動こうとしない経営者

ある経営者が集客に悩んでいたので、取引先を巻き込んだセミナーを開催するアイデアを提供したことがあります。見込客に何かを売りつけたい気持ちをぐっとこらえて、まずはセミナーで自分たちが何者であるかを知ってもらうところから、見込客との間合いを詰めていこうという作戦でした。

ところが、経営者の動きが鈍い。セミナーへより多くの方にお越しいただけるように動かないのです。チラシを配って歩くことなんて自分の仕事では無いと考えている様子。ドブ板営業の見本までしてみせましたが、理由にならない理由を並べ立てて自分では動こうとはしません。案の定、当日は見込客にはならない知人ばかりが集まってしまう結果に。経営者は知人を相手に得意そうにお話ししていましたが、これでは何のためのセミナーかわからず、当初の目的を達成することはもちろんできませんでした。

この時、私が代わりにドブ板営業を数件して見せたのですが、訪問先の経営者が「自分たちでもこういうことをしてみたいと思っていた」「どのように企画をしたのですか」などと興味を持ってくれました。直感的にこの経営者とは波長が合いそうな気がしましたが、まさかこのタイミングで自分の営業をするわけにはいきません。差し障りない範囲で取り組みの概要を説明し、セミナーに申し込んでもらうようにお願いしました。

波長の合う経営者、合わない経営者

私の中小企業支援は知恵とアイデアを提供するスタイルです。提供するところまでが私の仕事で、それらを活用するかどうかは経営者に決めてもらっています。リスクを取って成果を掴むのが商売というものですから、最後の決断は当事者である経営者にしてもらいたいのです。そのため私が代わりに何かをして差し上げることはありません。代わりに営業してあげたり、代わりに補助金を申請してあげたりということには手を染めないようにしているのです。そうした支援にならない行動をしている専門家らしき人がいるのは知っていますが、私は一線を引くようにしています。本当に事業の成長を願うのであれば、中小企業支援家は経営者の「踏み台」になるべきであって、代わりに動くべきではないと信じています。

中小企業支援をしていると波長の合う経営者、合わない経営者というのが存在します。波長の合わない経営者に限って私と話したがったりするのは困ったもので、そうした経営者に時間を取られてしまうと、波長の合う経営者との対話が思うようにできなくなってしまいます。幸い私は個人事業主の自営業。顧問先の経営者が私を他の専門家と比べているように、私もやんわりと支援先の経営者は選ばせてもらっています。「やんわりと」というのがポイントで、まさか「波長が合わないのであなたと話しても無駄です」とは言えません。知恵とアイデアを提供するだけのスタイルであることを丁寧に説明し、私が手取り足取り何かをするわけでは無いこと、最後の経営判断は経営者自身が下すことなどを説明し、適切な距離感を取ることが出来るように気を遣っています。

JALの航空機

大濠公園で飛行機を撮影してきました

しなやかに変わり続ける勇気を持つ

ある顧問先では新規事業を軌道に乗せるためのお手伝いをしています。お手伝いといっても経営者と対話し、今後の取り組みの方向性を議論しているだけです。当事者はあくまで会社であり、経営者。私が正解を持ち合わせているわけではないので、経営者が不確かな未来に向かって選択肢を吟味する、話し相手になっているという感覚です。

ただし、毎回必ずお伝えしているのが新規事業に取り組む意義についてです。既存事業が弱含みの状況であるので、いつまでもしがみつくわけにはいきません。まだ売上があるからといって新規事業を育てておかないと、じわじわと業績は悪化し、そのうちに新規事業に取り組む余力も無くなってしまいます。まだ行動する自由を持ち合わせているうちに、次代の売上の柱を築かなくてはいけないのです。

こうして新規事業に取り組む顧問先がある一方で、昨日と同じ仕事ばかりをしている会社も存在します。変わり続ける勇気を持てないのか、経営者も含めてゆでガエル状態になってしまっているのか。私がもっと強い言葉で行動を促すことができればよいのですが、何度言っても響かなければどうにもなりません。

中小企業支援家には波長の合う経営者、合わない経営者が存在します。


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