地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

ゆでガエル状態になっていないか

この仕事をしているとさまざまな状態にある会社とお付き合いすることになります。ある会社は「売上減」に麻痺してしまっているようでしたので、適切な危機感を取り戻してもらえるように経営者と対話をしました。

売上減を当たり前に受け止めていないか

先日、ある会社の経営者とお話ししていた時のことです。12月の売上速報値を尋ねたところ、前年8%減で、予算比10%のマイナスだったとのこと。それほど深刻な様子でもなかったので流してしまいそうになりましたが、明らかに危機的な状況です。売上の底が抜けているとも言える状態で、このまま推移したらあっという間に資金不足に陥ることでしょう。適切な危機感を抱いていてもらえるように促したのは言うまでもありません。

中小企業の経営者と対話をしていると、売上減を当たり前のこととして受け止めている経営者が多くてぞっとしてしまいます。かつての私も同じでした。主要販路である百貨店の売上が「来年こそは持ち直すだろう(だから今と同じことをしていれば大丈夫)」と思考停止状態に陥っていたのです。結果は江戸時代から続く家業を投資ファンドへ事業とすることになってしまったのですが、今なら当時の私が「ゆでガエル状態」に陥っていたことがわかります。最初はほんの小さな躓きであっても、それが続くといつしか当たり前のことになってしまい、徐々に深刻になっていく危機を危機として受け止められなくなるのです。

事業を存続させていくためには、現状維持を目指していては維持すらおぼつきません。成長させ続ける気概を持つことで初めて維持がなんとか可能になるのです。売上減なんて事態は、限りなく赤に近い黄色信号が点灯しているということ。事業の持続可能性が大きく損なわれつつある事態になっているという危機感を抱かねばなりません。

ゆでガエル状態にならないように現在の水温を把握しておく

今日の日本経済新聞の電子版に倒産が増加傾向になっているという記事が掲載されていました。

倒産11年ぶり1万件超 24年、金融正常化で新陳代謝進む
日本経済新聞 2025年1月14日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0666F0W5A100C2000000/

記事では「原材料価格や人件費の上昇で経営が圧迫された中小・零細企業の市場からの退出が増えたのが主因」と分析されています。コロナ禍で必要以上に保護されていた、ゾンビ企業の寿命が尽きつつあるという状況もあるのでしょう。関与先でもコロナ禍の最中に受けた融資が、長期借入金として重くのしかかっているところがあります。危機を打開するためには昨日と同じことをしていてはダメ。事業を成長させるための次の一手を打つ必要があるのですが、多くの経営者は昨日と同じことをして仕事をした気になってしまっています。

ある顧問先では新規事業に取り組んでいます。少しずつ前進しているのですが、最近になって少し息切れ気味。経営者の何が何でも新規事業をモノにしたいという胆力が見えづらくなってきているように感じます。新規事業というと新しいモノやサービスの設計に夢中になってしまいがちですが、この機会に改めて経営者には新規事業に取り組まざるを得ない状況についてお話ししました。既存事業の売上の下落傾向が変わらず、従業員の士気が下がり、新しい物事に挑戦する文化も希薄。このままでは会社の存続自体が危ぶまれるという現在地を改めて認識してもらいました。危機感を無責任に煽り立てるようなことはしませんが、ゆでガエル状態にならないように現在の水温は把握しておく必要があるのです。

寝ている様子のカエル

カエルではなく、トカゲを飼っていますが触れません

自ら行動して未来を切り拓こうとする人だけが見える景色がある

立て続けに知人と将来について話す機会がありました。年齢に関係なく、この先の人生で何をしたいかと考えるのは誰しも同じです。その何かがはっきりとしていれば一刻も早く挑戦しなければもったいないですし、何かがまだわからないのであれば思考を重ねれば良いのです。最悪なのは漠然とした不安や不満を抱えながら生き続けること。他人に認められないだとか、努力が報われないだとか、経済的に苦しいだとか。大事なのはこの先どうするか。現状に不満を抱いていたところで、具体的に行動しなければ変化は訪れません。

創業を志す人と話していると、実にシンプル。夢を実現する人は行動が早くて、何も成し遂げられない人は口ばかりが達者で行動が遅いか、あるいは行動がゼロ。人生は誰しも一回しか歩むことができません。現状に漠然とした不安と不満ばかりを抱いていると、いつしかその現状に染まってしまい、ゆでガエル状態になってしまいます。自ら行動して未来を切り拓こうとする人だけが見える景色があるのです。

今日お会いした経営者はそこそこ稼いでいる現状に満足せずに、常に新しいことに挑戦し続けています。人と会うのにも貪欲に取り組んでいて、さまざまな人を紹介すると喜んで時間を割いてくれます。こうした人が事業を成長させるのだろうなぁといつも勉強させてもらっています。


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