地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

背景情報を丁寧に伝える

誰かに何かを依頼するときに、作業内容だけを伝えていませんか。背景情報までも丁寧に伝えると、ぐっと成果物の品質が向上します。

外注するとき

昨日、思いついたことがあって外部の業者さんに制作物を発注したところです。珍しく社会保険労務士の仕事でひらめいたことがあり、実証するために必要な材料をご依頼することにしました。納品が1ヶ月後くらいで、その後に思惑通りの商売になるのかを検証してみるつもり。さてどうなることでしょう。

外部の業者さんに仕事をお願いするとき、背景情報までも可能な範囲でお伝えするようにしています。どんなことを考えているのか、何に使うのか、どうしてこの制作物が必要なのか。こういった情報は単純に作業を依頼するだけなら不要なのかもしれませんが、私との仕事を「腹落ち」して取り組んでもらうためにもお伝えするようにしています。

実際に業者さんからは「説明の追記も大変助かります。私自身、○○という制度があること自体、知らなかったので勉強になります。これから製作する○○が新たなサービスのお力になれれば幸いです」と返信をもらうことができました。

「腹落ち」という言葉で思い出すのはセンスメイキング理論。愛読している「世界標準の経営理論」に取り上げられています。人は誰しも腹落ちをしてこそ全力で何かに取り組むようになりますし、それが個人より大きい組織を動かすことにも繋がります。言われてみればごく当たり前の感覚で、わざわざ経営理論の一つとして学ぶまでもないように感じますが、業者さんと小さな取り組みを始めるにあたっても、こうした経営理論に基づく行動を無意識に選択しているわけです。

地方中小企業の経営者は不確かな未来に向けて経営判断を迫られ続けます。100%正しい判断ばかりを下せる人などいるはずもないのですが、少しでも確度を高めるためには経営理論が経営者の助けになります。

質問するとき

先日、ある経営者さんからLINEで連絡をもらいました。「○○の資格を持っている人を知っていますか?」とそれだけ。さてどう返答したものかと考え込んでしまいました。どういった事情があって質問しているのか、緊急度はどれくらいのことなのか、なぜ○○の資格なのか。考え出すとキリがありません。この質問に至る背景を教えてもらえないので、「知り合いに○○の資格を持っている人はいません」とだけ返答せざるを得ませんでした。

もし私が同じような質問をするとしたら、「こういった事情があって○○の資格を持っている人を探しています。これまでにAやBといった方法で対応してきましたが、それでは不十分で困っています。1ヶ月後までに作業を完了させたいので、可能であれば数日内に返信をいただけると助かります」といった感じで質問することでしょう。

背景情報が不足していると、何が何だかさっぱりわからないというのが率直なところです。丁寧にコミュニケーションを取ろうとする様子も感じられないので、こちらが一歩踏み込んで何かをして差し上げようという気持ちも湧きづらくなります。LINEなどの連絡手段であるからなおさらのこと、背景情報は(可能な範囲で)丁寧に伝えたいものです。

公園にある舞台

背景情報を丁寧に伝えるように心掛けています

作業をお願いするとき

行政のプロジェクトに関わっていると、報告書やデータの提出を求められることが多々あります。そのほとんどが何かに必要なものだとわかっていても背景情報の説明がなされないと作業は億劫なものになります。特に似たような内容の報告を続けて求められると、仕事が仕事を生んでいるような錯覚に襲われて徒労感ばかりを感じてしまいます。縦割りの弊害というか、いかにも民間人が想像しそうなお役所仕事といった印象です。

背景情報を丁寧に伝えるというのは、相手方の「腹落ち」を実現するだけでなく、本人の業務改善にも繋がることだと思います。なぜこの作業を依頼するのか、なぜこの人に、なぜいま、、、といった感じ。こうした意識を持てている人ばかりであれば良いのでしょうが、どうやら世の中はそんなに甘くはありません。

私の経験からすると、背景情報を丁寧に伝えて何か問題が生じたことは皆無。それどころか仕事がうまく進むようになるので積極的に取り組んでいます。手間と考えるのか、より良い仕事をしてもらうために必要なことと考えるのかはそれぞれの自由。でも私は背景情報を丁寧に伝えるように、いつも心掛けています。


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