士業マーケティング 顧問先をどう増やすか
先日、ある人とお話ししている時に「顧問先をどう増やしているのですか」と尋ねられました。
ドブ板営業
まず、最も効果的なのがドブ板営業です。顧問先を増やしたいと考えているのであれば、見込客を訪ね歩くことからすべてが始まります。この具体的な行動をせずに、「顧問先が増えない」「案件を受注できない」と嘆いている人がなんと多いことか。資格を取って、登録をしたところでまだ何者でもありません。自分から一歩を踏み出すことで、見込客に近づくことができます。
私の現在の顧問先はほんの数社です。その数社も、私から経営者にお声がけしたのをきっかけに顧問契約を締結していただきました。営業のポイントは相手の困りごとを解決できると提示すること。闇雲に「顧問契約をしてください」と訴えたところで嫌われるだけで、押しつけがましい営業は逆効果です。仮に興味を持ってもらえても、報酬は足元を見られてしまうことでしょう。がつがつと顧問契約をしたがっている相手ならば、多少の値引きも受け入れると思われてしまうのです。私が料金表を提示するのは最後。この時点で値引きを要求されることはありません。なぜなら、すでに価値を認めてもらえているからです。
ある弁護士とお話ししたときは顧問先が60数社ということでその多さにびっくりしました。でも、私のように月1回必ず訪問して、経営者と議論をしながら知恵とアイデアを提供しようとする場合、60数社も顧問先を抱えていては目が行き届きません。せいぜい10社が良いところでしょう。もちろん、その分、報酬は多めにいただいています。社会保険労務士の月額報酬の平均がいくらかデータを持ち合わせているわけではありませんが、おそらく数倍は頂戴しているはず。独自の立ち位置を築くことができているので、好きなように働くことができています。
情報発信
顧問先を増やそうとするのであれば、まずは自分が何者であるかを明らかにするのが順序というものです。自己開示もせずに「顧問契約をしてもらいたい」とばかり叫んでも、どこの誰かもわからない者に心を許してくれる人は現れません。まずは徹底的に自己開示をするのです。そのためにも有効なのが情報発信で、見込客に知ってもらうための情報発信をホームページを始めとした媒体で行うのです。
士業が独立開業しようと考えた時に、ホームページは必須です。今時、少しでも興味を持った会社名や人名はすぐに検索されるので、検索された時の受け皿として事務所のホームページが必要なのです。コンテンツは業者任せにせずに、自分で作りこみましょう。自己開示のためのホームページなのですから、どこにでもあるような情報を載せるのは無意味。多くの士業が掲載しているような、法改正情報や業者の提供するコラムをコピペしても見込客の心には刺さりません。
とはいっても「発信するネタがない」「業務以外のことを書いても意味があるのか」と考える人もいます。私に言わせれば、発信するネタがない人などいません。これまでの人生の歩みや趣味のことでも良いのです。新聞記事を読んだ感想でも良し。ご本人が何かを書いたり話したりして発信することに意義があるのです。
情報発信は新しい顧客を増やすためばかりでなく、顧問先との関係性をより強固にするためにも有効です。自分の契約している「先生」がどんなことを考えているのかを経営者は気にしているもの。顧問先にも読んでもらっているつもりで継続して発信しましょう。
顧問先が増えないのは行動していないから
士業の人から顧問先が増えないと相談を受ける時、そのほとんどがそもそも行動していないことに原因があります。資格を取って、登録をして、その後はただ待ち続けているのです。まだ何者でもない士業が待ち続けていたところで見込み客は現れません。ドブ板営業にせよ、情報発信にせよ、まずは行動しないことには何も始まりません。そして継続することも重要。ほんの数回営業したところであきらめたり、ブログを最初の数回だけ更新して放置したり。それで効果が生まれるわけがありません。行動には量も必要です。
行動というと間違った行動もあります。勉強に逃げてしまうタイプです。試験勉強の延長で他の資格に手を出したり、マニアックな本を読み続けたりするのです。勉強し続けることを否定するつもりはまったくありませんが、顧問先を増やそうとするのであれば行動の種類は自然と絞られるはず。営業と情報発信です。
資格を取ることと顧問先を増やすことはまったく別。合格した後にはギヤを入れ替えて、ドブ板営業と情報発信に注力して顧問先を増やしていきましょう。
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