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コラム

弁護士の上手な使い方

地方中小企業の経営者がトラブルに巻き込まれた時、あるいは巻き込まれてしまった時にどう対応すればよいのでしょうか。私はさっさと弁護士に頼るべきだと考えています。

退職代行と弁護士 どちらを選ぶか

ある関与先で、前日まで何事も無かったように仕事をしていた従業員さんから退職の意思表示があったそうです。入館証や鍵類は机の引き出しに入れてあったそうで、もう出社するつもりはないと言い張るばかり。話し合いにもならず、退職の手続きを進めざるを得なかったそうです。どんな事情があったのかわかりませんが、経営者や他の従業員は戸惑いを隠せなかったといいます。他社への転職が決まったのだろうと考えていますが、後味の悪い出来事でした。

最近は退職代行業者を利用して退職の意思表示をする人が増えているといいます。退職代行と言っても弁護士・労働組合以外が手掛ける場合は使者として意向を伝えるだけ。それだけのために数万円を支払う価値があるのかは疑問です。言い出しづらいことを代わりに誰かに言ってもらいたいという困りごとを、単純に代行してくれるだけのことです。

私は退職代行を利用するくらいなら、弁護士に依頼して内容証明を発信してもらうのをお勧めします。弁護士を使っているというだけで会社側には牽制になり、退職時の無用なトラブルを抑止することができるでしょう。料金は数万円程度のはず。退職代行を利用するのと大差はありません。

トラブルの予兆があらわれたらさっさと頼るべき

ある関与先から外注先とトラブルになっていると相談を受けたことがあります。発注した業務を手掛けている形跡がなく、月々の業務委託料だけが発生してしまっているというのです。詳しく話を聞いてみると、どうやら単純に能力不足の外注先を選んでしまっただけのようです。ウェブサイトやSNSでは派手な様子を喧伝していますが、どうやら地に足を付けた仕事はしたことがなかった模様。悪い業者に引っかかってしまったというわけです。

この時、私がアドバイスしたのは弁護士から内容証明を送って契約を解除すること。この手の業者は弁護士から手紙が届いたというだけで震えるものです。案の定、その後はスムーズに契約解除に応じてもらうことができ、多少の損害は発生したものの勉強料と割り切れる金額だったと言います。対応方法がわからずに困っていたというので、簡単なアドバイスをしただけなのにとても感謝してもらうことができました。

中小企業支援に携わっていて感じるのが、弁護士の使い方を知らない経営者が多いということ。こじれてしまってから弁護士に泣きついたところで取り得る選択肢は限られますが、トラブルの予兆があらわれた時点から相談していれば有利な形での解決の可能性は高まります。もちろん専門家を使う以上、それなりの費用は発生しますが、ある意味、保険料のような性質の出費です。目先の出費を出し惜しみするか、さっさと対応して大きなトラブルにならないように先手を打つか。経営者のセンスが問われます。

話を聞こうとしている弁護士

早めに弁護士に相談してしまいましょう

自称専門家には要注意

法律関係の話になると自称専門家らしき人が現れることがあります。こうした素人の意見を鵜呑みにするのは言うまでもなく危険です。「いろいろトラブルを解決したことがある」だとか「私はこの問題に詳しい」などともっともらしいことを言ってきますが無視するに限ります。ある関与先でも不動産関係の話題に首を突っ込みたがる人物がいてあきれました。自分の承認欲求を満たすためなのか、あわよくば利益を得ようと考えているのかわかりませんでしたが、適当にあしらって無視してしまいました。

弁護士だからといって、すべての法律に通暁しているわけではありません。例えば、労働契約書と就業規則の関係についてなどは、社会保険労務士であればテキストの1ページ目に書いてある事柄で誰もが理解しているはずなのですが、弁護士では残念ながら忘れてしまっている人も存在します。でもだからといって、弁護士を利用しない理由にはなりません。法律上の問題が発生しそうになったら、迷う前にさっさと弁護士に相談してしまう。地方中小企業の経営者に求められる姿勢です。


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