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コラム

士業マーケティング 完全独占を目指せ

独立開業後、事務所経営を軌道に乗せるために必要な経営戦略について書いてみます。

「世界標準の経営理論」を読み返している

ちょうど「世界標準の経営理論」を読み返していて、第1部の経済学ディシプリンの経営理論について学び直しています。ここで何度も強調されているのが、完全競争と完全独占のどこに身を置くか考えるべきだということ。もちろん完全独占により近いところで事業を営めば稼ぎやすくなるわけです。

この「世界標準の経営理論」、ページ数だけだと800ページを超える辞書のように分厚い本です。ただし、地方中小企業の経営者でも十分に読み込めるように丁寧に文章が書かれていて、決して難しい本ではありません。中身の薄いビジネス書らしきものを何冊も読むなんて時間の無駄で、代わりにこの本を1冊机に置いておけばよいと思っているくらいです。

ある経営者にこの本を勧めたところ、「分厚い」といってどうやら手に取ってはいただけなかったよう。私が本を勧めるのには理由があるわけで、その経営者にはより高い視点から経営に取り組んでもらいたかったのです。他に経営の羅針盤になるようなものを持ち合わせているのだろうかと、今でも心配している経営者の一人です。

かつての家業について思い返してみると、業績が悪化し始めてからは完全独占から完全競争に近い環境下に自ら身を置いてしまったのではないかと反省しています。日銭を稼がなくてはならないと考えての行動だったのでしょうが、結果、独自の立ち位置を自ら放棄して利幅の薄い商売に首を突っ込んでしまったように思います。もちろん、こうして今さら過去を振り返ってあれこれ考えても何がどうなるものでもありません。過去から学んだことを、現在の関与先に提供するサービスに生かすだけです。

士業事務所も完全独占を目指せ

独立開業して士業事務所を経営しようとするのであれば、最初の一件を受注しようと営業するのも(とても)重要ですが、同時に、競合との差別化をどのように図るか最初に考えておくことも重要です。例えば社会保険労務士であれば、全国に開業している競合が45,000者あまり存在します。競合と同じ業務を同じ価格で提供していては埋もれてしまうだけ。見込客にわざわざ選んでもらえる独自の立ち位置を築く必要があります。

差別化というのは何をするのかを考えるのと同時に、何をしないかを考えることでもあります。独立開業すれば何をするのも自由ですが、絶対に手を付けないことを最初に決めておくことも有効でしょう。

みんなと同じ業務をしていても、経験豊富なベテランに勝てるわけがありません。これまでの自分の経歴などが生きる業務に思い切って特化することで存在感が浮かび上がり、結果、多くの見込客から声がかかることになります。私の近くでも士業で独立開業しようとしている知人がいます。まずは自分の立ち位置をどう形作るかに時間を割くのも必要なことだと信じています。

国語辞典を開いている様子

厚い本を読むのが好きです

私が定型業務を手掛けない理由

私の場合は、社会保険・労働保険の手続代行や給与計算などのいわゆる定型業務はほぼ手掛けていません。そもそも私に実務経験がないというのもありますし、何より後発が定型業務をどれだけがんばったところで多くの先達に勝てるわけがないと考えたからです。

代わりに事業の柱に据えているのが経営コンサルティング。経営者と対話し、知恵とアイデアを提供することで売上アップを目指してもらいます。経営コンサルティングといっても同じ地方中小企業の経営経験を生かしたアドバイスばかり。教科書に書いてあるようなことを闇雲に突き付けたりすることなく、地に足を付けた中小企業支援をするように心がけています。

今のところ私の身の回りでは競合らしい競合は見当たらず、ありがたいことに業務委託契約や顧問契約を継続してもらっています。中には社外取締役として会社の中に迎え入れてもらうこともあり、大きな責任を負って経営者と対話させてもらう日々です。独自の立ち位置を築くことで得られるメリットはいくつもありますが、経営上は価格競争に陥らずに済むというのが最も大きいでしょう。安直に安売りをせず、価値に適正な価格を付けるという当たり前の商行為が見直されつつあります。提供する価値の独自化をし、完全独占により近い位置で商売できるように心がけています。


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