地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

経営破綻は終わりではなく始まり

以前にお世話になっていた経営者の会社が裁判所から破産手続開始決定を受けたことがわかりました。法人の破綻は悲劇でもなんでもなくて、次の挑戦を始めるきっかけを迎えただけのこと。私も江戸時代から続く家業を投資ファンドに事業譲渡した後に、中小企業支援家として第二の社会人人生を歩むことができています。破綻は終わりではなく始まり。リセットすべきをリセットさせてもらって、次の道に進みましょう。

毎日、インターネット版官報を眺めている

毎日8:30に発行されるインターネット版官報を眺めています。破産や特別清算に至った会社名をざっと確認するようにしていて、平日朝の習慣になっています。年明けからは件数が少なめで推移していて「年末年始だからなのかな」などと考えていたところです。数日前にいつものようにチェックしていると、ある会社名が目に留まりました。以前に経営者とお話しさせてもらった会社が破産手続開始決定を受けたようです。

最後にお会いしたのはいつだったか。私が転職をすると決めた時にも差し入れを持ってきてくれた方で、少し疲れているようには見えたものの力強く励ましてくれました。順調に事業を営んでいるように思っていましたが、コロナ禍で売上の減少が続いて苦しんでいたのでしょうか。新しい事業を始めたと報告を受けていたのに、今回の選択肢を選ばざるを得なかったのは悔しいことでしょう。

すぐに連絡したところ返事をもらえて、まずは体調優先で過ごしてくださいとお伝えすることができました。事業が破綻したところで経営者の人生はその後も続きます。次の社会人人生でもぜひ活躍してもらいたいと思っています。

自分のできることを着実に実行していく

事業を営んでいると成功している人の話ばかりが耳に入ってきます。誰々はうまくやっているようだ、どこどこが大口案件を受注したようだ、といった感じ。どこまで本当かわからないものの、こうした話はあっという間に噂が広まります。いちいちまともに聞いていたら、周りばかりが成功しているように思えてきて、売上に一喜一憂している自社の状況が情けなく思えてしまうことになります(私の実体験)。

ただ、その裏側には毎日地道に事業を営んでいる事業者が必ず存在しているわけで、売上を増やすこともあれば減らして苦労していることもあることでしょう。キラキラとした情報ばかりに惑わされることなく、自分のできることを着実に実行していくのが何より重要。凡事徹底、商売に奇策なしというのを常に心がけたいものです。

またキラキラとした成功を振りかざす人ほど地に足がついていないことも。本当に稼いでいる人は黙々と取り組んでいるわけで、他者にひけらかすような真似は何より避けているはずです。

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経営破綻は終わりではなく始まり

他社の成功事例を因数分解して自社に応用する

地方中小企業の経営者向けに講演で支援事例を伝えていると、「自分と同じ業界の事例はないのか」「同じ業界の事例でなければ意味がない!」などと質問・意見を受けることがあります。残念なことに私が携わった業界には限りがあって、必ずしもすべての業種の支援事例をお伝えできるわけではありません。

それでも様々な支援事例を取り上げるのは、売上アップに至った経緯を因数分解して自社の経営に役立てて欲しいから。事例の表面上だけをなぞれば同じように成功できますよ、などと伝えるつもりはさらさらありません。「SNSを使って売上が増えました」「新聞に取り上げられてうれしかったです」などというのは私が伝えたいと願う事例の本質的なところではありません。なぜ見込客の共感を得ることができたのか、なぜ記者に取り組みを評価されたのかといった部分に目を向けて、自社の取り組みに生かしてほしいのです。

地方中小企業の経営者とお話ししていると他社の成功事例に強い関心を持っている人が非常に多いと感じます。ただ、事例の表面上の部分をなぞっても本質的なところを理解できていなければ応用はできません。他社事例から学びを得ようとするのであれば、成功の裏側に隠されている試行錯誤や失敗にまで思いを馳せる想像力が求められます。

破綻を経験した経営者は、何より得難い教訓を自ら紡ぎ出すことができたとも言えます。悔しく悲しい思いをするのはこの瞬間だけにして、次の社会人人生をまた楽しく前向きに歩んで欲しいと思います。


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