地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

経営者のビジョンを伝える

地方中小企業の経営者に求められる仕事に一つに、ビジョンという旗を振ることが挙げられます。従業員や取引先に事業の将来性を理解してもらうためにも「わかってもらえているはず」「一度話したのだからわかっているはず」「黙っていても理解してくれているはず」という思い込みは排除したいもの。便利なツールを上手に使ってビジョンを共有しましょう。

非同期コミュニケーションの可能性

(新風シリコンバレー) 非同期ツールの効用
日本経済新聞 電子版 2023/10/24
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75502310T21C23A0XY0000/

記事によると「非同期コミュニケーションとは、電子メールであったり、タスク管理アプリにメモを書いたり、機会があれば誰かに聞いてもらうためにボイスメッセージを残したりすることである」とのこと。

経営者の考えを共有するのに非同期ツールは有用で、例えばビデオメッセージなどを共有フォルダにアップロードしておけば、遠隔地にいる従業員も経営トップが何を考えているかのを息遣いと共に理解することが可能になります。

先日、ある関与先では会議が行われ、冒頭に代表取締役からコメントが発せられることになっていました。私はぜひその様子を動画に撮っておき、従業員に共有するようにお勧めしました。

本社に勤務している従業員や管理職は経営者と近いところで働いているので、その考えを生の声で聴くことが可能です。そのため「ビジョンの共有」と言ってもピンとこない人もいることでしょう。ところが多店舗展開していたり、拠点が全国に分散していたりするような企業では、多くの従業員が経営者の考えを直接知る機会に恵まれません。一部の人にとっては当たり前のメッセージであっても、そのメッセージを待ち望んでいる従業員もいるのです。

アナログなツールも有効

家業の代表取締役を務めていた当時、私は手書きのメッセージを従業員に送るようにしていました。出張で移動している時などに絵葉書の裏に文章を書いていたのです。ほとんどの従業員が年上ばかりで、さらに業績も下降する一方。少しでも従業員と関係性を深めたいと思いついた方策でした。

大きな目的を達成するためであれば、手段はデジタルでもアナログでも構わないはず。ビデオメッセージなどをスマホ1台で簡単に用意できるようになった一方で、アナログの手触り感というのは改めてその魅力が認識されているようにも思います。

従業員へ私が気になった本を送ることもありましたが、本を読むという行為に負担感があるようであまりうまくいきませんでした。これという従業員にお勧めの本を送ったのに「まだ読んでいません」と言われたときはがっかりしてしまいました。ただそれも私が用意した手段が適切でなかっただけ。従業員に合わせた方法で経営者の考えを共有しなくてはいけないと学びました。

大漁旗

経営者の仕事は旗を振ること

音声メディアの可能性

文章を書くのは苦手、動画は恥ずかしい、という人にお勧めなのが音声での発信です。スマホやパソコンに声を吹き込み共有するだけ。動画と比べたら負担感はぐっと少なくなるはず。

私は今年の5月からポッドキャストでの情報発信を始めています。話すのは得意ではありませんが、動画よりはマシだろうというので取り組んでいます。以前にコミュニティFMで番組をさせてもらっていたこともあり、なんとなくイメージを掴めていたというのもきっかけになりました。アシスタントと二人で対話する形式にし、毎週金曜日に配信しています。

編集は動画編集ソフトに音声ファイルを取り込み、始まりと終わりの余計な部分をカットしているくらい。あっという間に誰でも身に着けられる程度のことしかしていません。ポッドキャストとしてネット上で公開してもよし、社内向けの限定公開にしてもよし。経営者の声を用意すればあっという間に発信が可能です。

経営者がビジョンを語らないと従業員は昨日と同じ業務を繰り返します。昨日と同じことだけをしていても事業が成長することはなく緩やかに衰退するだけ。会社と事業の未来を責任ある立場から語ることができるのは経営者のみで、事業の持続可能性を担保するためには避けることのできない業務です。動画や音声も簡単に用意できる時代になり、ビジョンを共有できない言い訳は通用しません。なにより、経営者の声を聴いた従業員はとても喜んでくれるもので、一度始めたらやめられなくなることでしょう。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています

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