士業マーケティング 顧問契約をする意味
社会保険労務士業は(ほぼ)手掛けていませんが
中小企業支援家としていくつかの顧問先と契約してもらっています。
顧問契約をする意味はどのようなところにあるかを書いてみます。
顧問契約は「お守り」「保険」
顧問契約という形態は
業務が発生してもしなくて
毎月、定額の顧問料が発生する仕組みです。
そのため経営者によっては
「困ったときだけ頼めばよい」
「メリットがわからない」
と顧問契約を敬遠する人もいます。
先日、こんなことがありました。
ある地方中小企業の社長が
社会保険労務士を探しているというのです。
内容は伏せますが、
それまで社内で完結していた業務にトラブルが発生し
今回だけ手伝ってくれる社会保険労務士を探しているそう。
自分で検索して何人かに連絡してみたものの
いずれの社会保険労務士にも受けてもらえなかったと言います。
残念ながら私も力になれなかったのですが、
顧問契約している社会保険労務士がいれば
おそらく未然に防げたトラブルであったように感じました。
それでも社長は
「顧問契約は考えていない」
「スポットで手伝ってくれればよい」
と頑なです。
その後どうなったかはまだ聞けていません。
地方中小企業が専門家と締結する顧問契約は
保険やお守りのようなものです。
アルバイトなどを雇うのとは違い、
常に会社にいるわけではありませんが、
何かが起こった時には(できるだけ)迅速に対応します。
この性質を地方中小企業にきちんと伝えられているでしょうか。
トラブルを未然に防いだり、
トラブルを発生させてしまったとしても
最小限の損害で済むように事態をコントロールするには、
普段から会社の状況を把握している専門家が必要です。
その必要性をメリットとして
経営者に納得してもらうことが求められます。
専門家はメリットを提示すべき
士業のホームページを見ていると
顧問契約の真のメリットを明示しているところは少ないです。
・自分はどういう人物なのか
・どういった支援事例があるのか
・どのような対応が可能なのか
少なくともこのあたりを明示しないと
まったくご縁のない地方中小企業から
声をかけてもらえることは少ないでしょう。
さらには顧問契約というのは
常に業務が発生するわけではないこと。
つまり業務に繁閑の差があることは
しっかり伝えておく必要があります。
毎月定額の顧問料が発生するのは
常に業務が発生するからではなく、
関係性を維持するための保険料なのです。
ほとんどのホームページでは
料金表に注力しているように感じます。
もちろん料金をわかりやすく提示するのは重要ですが、
その前段階で専門家と契約するメリットを
まず提示しないことには検討のテーブルには乗りません。
顧問契約を締結することで
経営者の負担がどのように軽くなるのか
どのようなリスクに対応できるようになるのか
わかりやすくイメージしてもらえるようにしましょう。
顧問料以上の価値を提供する
私の顧問先との関わり方は様々です。
プロジェクト型のところもあれば、
月1回1時間お話しするだけのところもあります。
それぞれの経営者が求める価値を
私が提供しているという点は共通しています。
ある顧問先へは月1回、訪問しています。
社保手続き等の業務には一切関与していません。
経営者親子と経営に関して議論するのが主な仕事です。
ある時、労基署から呼び出しがあったと連絡がありました。
率直にいって教科書通りの労務管理ができているかというと
私も把握し切れていないところがあります。
ひょっとしたら何か問題が発生したのかもしれませんし、
定期的な労働条件等調査なのかもしれません。
その際に私がアドバイスしたのは一つだけ。
担当者任せにせず、
社長も同行してくださいとお伝えしたのです。
行政担当者の発する言葉を
担当者一人が汲み取ろうとするのではなく、
社長も一緒にニュアンスを感じ取って欲しかったのです。
結果は特に宿題をもらうこともなくあっさり終了。
社長から報告の電話をもらった際には
「注意の書面が出されそうになったが、
結果、何も指摘されずに済んだ」
「アドバイス通りに私も行ってよかった」
と言ってもらうことができました。
地方中小企業にとって、
月々発生する顧問料というのは
額の多寡にかかわらず負担感のあるものです。
契約前には顧問契約についてきちんと納得してもらい、
契約後には顧問料以上の価値を提供する。
当たり前のことですが徹底したいものです。
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