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コラム

元従業員さんが起業した話

家業の代表取締役を退任した後も
元従業員さんから連絡をもらえることがあります。

早期退職後に就職、定年退職、そして起業

ある元従業員Aさんから連絡がありました。

家業の早期退職制度に応募したあとに再就職、
その勤め先も昨年末に定年退職したとのこと。
そして、今月から起業したと連絡をもらいました。

Aさんは社内ではどちらかというと「問題社員」で、
実際に若干のトラブルも引き起こしていた方。
ただ、私とは気が合い、
家が近かったこともあり二人で飲みに行く関係でした。

当時の私はヒラの営業担当。
役職にはついておらず、
かといって営業成績が優れているわけでもなく、
地方中小企業で鬱々と日々を送っている、
典型的なダメサラリーマンでした。

そんな私にとって、
Aさんは家業の中で異質の存在で、
難しい仕事の話は抜きに、
楽しく飲むことができる人でした。

その後、私が代表取締役になり、
Aさんは何度目かの早期退職制度に手を挙げて退職。
最後は送別会もできませんでしたが、
その後が何となく気になっていた元従業員さんの一人です。

私には、
Aさんは同質性の高い家業の中で、
枠に収まりきらずに窮屈な思いをしているように
見えていました。
早期退職制度に応募すると知って、
「外の世界での方が活躍できる人だろうな」
と考えたのを記憶しています。

体が動く間は働き続けなければならない時代

学校卒業後に就職し、定年まで勤め上げ、
一定の退職金と年金で老後を豊かに過ごすというのは
もはや想像しづらい時代になりました。

他の元従業員さんとも話すのですが、

「雇われる立場のままだと、いつかは会社を去ることになる」

「体が動く間は働き続けることを求められる時代になった」

「早めのうちに技術や資格を身につけ、
自分で商売を始めないと老後に食いっぱぐれる」

と私は考えています。

もちろん、技術や資格を身につけただけで
その後、食べていけることが保証されるわけではありません。

商品・サービスに社会的価値を付加しなければいけませんし、
価値を認めてくれる顧客を見つけ、ファンに育てなければいけません。
また何より、収益を上げ続けて、事業を存続させることも必要です。
そこには商売のセンスと経営の覚悟が求められます。

でも自分の個性と世界観を形作り、
商売の独自化を進めるためには、
まずは技術と資格を持っていれば
少なくとも、スタート位置につくことができます。

特に地方中小企業で、
長く、雇われる立場であった人には
独立するきっかけとして
技術や資格を身につけることは有用でしょう。

自分で自分の価値を作り、高めて、自力で稼ぎ続ける。
人生を楽しむためには雇われ続けるだけでなく、
起業も選択肢の一つだと思うのです。

定款と会社印

創業は究極の自己実現です

まずは自分の強みを把握する

先日、まったくご縁のない人から起業の相談がありました。
相談というものよりかは、一方的な投げかけでした。

率直にいって、筋の悪そうな事業内容。

なぜなら
・類似のサービスがあるのに独自化が足りない
・資金調達の手段に安直にクラウドファンディングを選択
・顧客像が具体的に思い描けていない
といった理由からです。

特に物足りないなと思ったのが、
ご本人の強みをまったく生かせていない点です。

「ある日、アイデアを思いついたから」というだけで
起業が最初の一歩を踏み出せることはありません。

こうした「思いつきのアイデア」は否定しませんが、
すぐに第三者に話してしまうような方に共通しているのが
思い込みが激しくて議論が成り立たないということ。
単にアイデアを認めてもらいたくて
第三者に話しに来ているようなのです。

まずは自分の強みがなんなのかを棚卸しし、
さらに表面に現れていない、
かつ、自分でも明確に意識できていない真の強みを探し出し、
起業のテコとして活用すると成功の確率は高まります。

冒頭のAさんの場合は、
再就職先でのネットワークと技術を生かして起業された模様。
二人で飲んでいた時の破天荒振りとは異なり、
ご自身の強みを生かして起業に踏み切ったようで安心しました。

他にも第二の社会人人生に挑戦している元従業員さんがいます。
いつか良い報告をもらえることを願っています。

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