乗る船を選ぶ、船に乗せる人を選ぶ
高校ではボート部に所属していました。
息を合わせて漕がないと思うようにスピードが出ません。
ボート部での経験は地方中小企業の経営、
中小企業支援にも役立っています。
乗る船を選ぶ
高校ではボート部に入っていました。
都内でも数校しかないボート部で
練習場は埼玉県戸田市にある戸田漕艇場。
東京オリンピックの会場選びで話題にもなりました。
我々の代は4人しか残らず、
体力的にもかなり低レベルな集まり。
高校生の主要な種目に出るには5人が必要で、
下級生から助っ人を募り、
なんとかレースに参加することができました。
3年生春の最後のレースは
ライバル開成高校との対校戦。
歴代最弱と言われた我々ですが、
厳しい練習を乗り越え、
しっかり勝利して引退することができました。
卒業後も母校ボート部の学生コーチを経験。
教え子たちとは
全国大会へ行くこともできました。
ボート部で学んだことはいろいろありますが、
特に社会人になってからも大事にしているのは
「乗る船を間違えない」ということ。
単に1艇のボートを指すのではなく、
組織であったり人であったり環境であったり、
広い意味での「船」を見極めて乗り込む必要があります。
例えば学生時代、特に学生コーチの時には
・競技に堪えうるスペックのボートであるか
・そもそも選手の人数は確保されているのか
・同じ目線で練習に取り組むことができるメンバーなのか
・OBOGからの支援を得られる状況なのか
・目標は努力すれば達成されるものなのか
といったことを考えていました。
こういった項目に納得できて、
初めて同じ船に乗り込むことができ、
あるいはコーチとして伴走することができます。
社会人の目線に置き換えると
・成果を評価してくれる組織であるのか
・正当な報酬を得られる事業であるのか
・持続可能な成長が可能な事業分野であるのか
・家庭と仕事が両立できる環境であるのか
・共に歩める仲間が存在するのか
といった点を評価する必要があります。
評価の軸を持たずに船に乗り込んでしまうと
「思っていた仕事と違う」
「努力しても結果を出すことができない」
「業務以外の部分で疲弊してしまう」
という事態に陥ってしまいます。
そもそも船に乗り込む前、
つまり入社したりプロジェクトに参画する前の
見極めが重要です。
船に乗せる人を選ぶ
地方中小企業に関わっていてよく聞くのが
何も考えずに「知り合い」に関与させること。
この「知り合い」が
同じ船に乗るのに値する人なら何も問題はありません。
しかし、多くの地方中小企業は
適性を大して見極めずに、船に乗せてしまおうとします。
「知り合いだから」という理由だけで。
その結果何が起こるかというと
・グラフィックデザインを知り合いに頼んだが、
いつまでたっても成果物が納品されない。
知り合いであるだけに厳しく催促できない。
・内装工事を知り合いの業者に依頼したが、
仕事を後回しにされ、いつまでたっても完成しない。
よく考えると見積もりも高いような気がする。
・知り合いを事務担当者として採用したが、
入社してから能力不足であることに気付いた。
まさか知り合いが問題社員化してしまうとは。
といったミスマッチが生じがちです。
その「知り合い」は同じ船に乗せるべき人なのか?
他のメンバーと釣り合う能力や思いを持っているのか?
顔の見える人に声かけしたくなる気持ちはわかりますが
後から後悔しないためにも
船に乗せる人は丁寧に選び出す必要があります。
船の状態をよく見極める
自分たちの乗っている船が
どのような状態なのかを見極めることも重要。
地方中小企業に置き換えれば、
・そもそも、事業に社会性が備わっているのか
・事業の価値を創出し続けるために
必要なメンバーが集まっているのか
・成長し続けるために必要な
投資をし続ける覚悟があるか
といった点です。
これらに不足があるということは
船に置き換えると
竜骨がゆがんでしまっていたり、
舵が歪んでいたりする状態です。
どんなに漕ぎ手が努力しても
まっすぐに進むことはなく、
スピードを出すこともできません。
日々の経営に追われていると
目先の数字ばかりが気になってしまいがち。
意識して状況を俯瞰することで
気付かないうちに事業性が劣化していたり
世の中の流れに外れていたりという
事態を防ぐことができます。
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