地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

補助金ばかり追い求める経営者

地方中小企業には
補助金ばかりを追い求めている経営者がいます。
どのような弊害があるのかを書いてみます。

補助金を受給するのが目的になってしまう

一度、補助金の中毒性に取り憑かれると、
いつまでも補助金を探し続けることになります。

新規事業を立ち上げようとしている
地方中小企業を例に考えてみます。

経営者の頭の中を覗いてみると、
以下のような流れになります。

1.「新規事業を立ち上げたい」

2.「手元の資金では賄えないから資金調達が必要」

3.「補助金があるから申請しよう」
「使える制度は使わないと損」

4.「補助金が受給できた!」

5.「まだ資金が足りない!他に補助金はないかな?」

6.「補助金を受給するためには
何をすればよいだろう?」

7.「補助金が終了した!
まだ資金が足りない!」

※5に戻ってループしていく

典型的な補助金に取り憑かれてしまった
経営者の思考です。

1〜4までは特に問題ありません。
制度をリサーチして、
自社に必要な補助制度を見つけ、
うまく利用して事業化に活用しているだけです。

しかし5以降で、
すっかり本末転倒な状況に陥っています。

リスクをほとんど取ることなく、
補助金で資金(の一部)を得られることを体感してしまい、
補助金の対象になる事業を手掛け続けることに
思考が引きずられてしまっています。

自社のミッションや事業の目的を忘れ、
「補助金をもらう」ことしか
考えられなくなってしまっています。

補助金の正しい使い方

補助金は地方中小企業にとって
非常に有用な制度です。

ただし使い方を誤ると、
事業性を損なうことにもなりかねない劇薬。

事業立ち上げ時など
一時は補助金など支援制度を用いるにしても
いずれは自社単独で事業を営まないと
持続可能な商売は実現しません。

地方中小企業が補助金を使用する目的は、
あくまで「苦しい瞬間」に
支援を得るためであるべきです。

いつまでも補助金に依存し続けてしまうと
補助金を得るために事業を営むという
本末転倒の状況に陥ってしまいます。

銀行融資などで必死に資金を集め、
自社のミッションにかなう事業に取り組み、
「顧客から評価されて正当な対価を得る」
ことが本来の商売です。

ソファのある応接室

銀行の応接室ってこんな感じですよね

銀行融資を得るということ

特に創業期の経営者に多いのですが、
銀行からの融資を
「借金はイヤだ」「銀行は嫌いだ」といって
選択肢から外している人がいます。

自己資金が潤沢にあり、
かつ
将来も資金に困らないのであれば
銀行と取引をしないという判断は正しいでしょう。

口座だけ持っていれば問題ありません。

しかし事業を長く営んでいると
突発的に資金が必要になったり、
苦境をしのぐための支援が必要になったりすることも
かなりの確率で発生します。

そのような事態に陥ったときに、
日頃から銀行と付き合いがあるかどうか、
さらに言うと、
融資を受けることで
応援団の一員になってもらっているかどうかは
企業の行く末を左右することになりかねません。

事業性を説明し、
資金の使い道を説明し、
さらに返済方法を具体的に示し、
その上で銀行内の稟議を得なければ
融資を受けられることはありません。

つまり、
融資を受けられるということは
事業性の評価を得たことになります。

私が家業の代表取締役を務めていた際は
7行庫と取引があり、
いずれも投資ファンドに事業譲渡する最後の局面まで
離脱することなく応援を続けてくれました。
長く苦境に陥っていた家業でしたが
融資を通じて事業の可能性を評価してもらっていたのです。

表面上は資金面だけの付き合いのように思えますが、
私にとっては最も心強い応援団の一員として
取引金融機関には見守ってもらっていた感覚があります。

補助金は特定のタイミングで、
一時の資金を得るためであれば、
使えるのであればぜひ使って欲しい制度です。

しかしいつまでも頼っては
そもそもの事業性を損なうことになりかねません。

一方で、
銀行融資を実現するというのは
ある程度の事業性を担保できている証明になります。
またその後も長く応援してくれることにも繋がります。

補助金に惑わされることなく
長く事業を存続させるために必要な資金調達手段を
視野広く探すことが重要です。

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