地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

地方中小企業が早期退職制度を運用する際のポイント

地方中小企業でも
早期退職制度を設けているところがあります。

制度の運用にあたって、
どのようなことに気を付けたら良いでしょうか。

会社の置かれた状況を説明することから始まる

なぜ会社が
早期退職制度を実施しようと考えているのか、
徹底的に説明する必要があります。

業績が伸びている局面で
行うこともあるでしょうし、
かつての私のように、
業績が悪化し続けて
やむなく実施しようとすることもあるでしょう。

どちらの場合でも
会社の現況を財務諸表を元に
丁寧に示すことからすべてが始まります。

「従業員に財務の状況を開示したくない」
「説明会や面談が紛糾するのが怖い」
などといって現況の説明を怠ると
制度の健全な運用が難しくなります。

事業報告の場も兼ねることで
制度に応募するかしないか、
適切な判断材料を対象者に与えることができます。

私が面談で話していたこと

私の場合、
対象者に個別に面談を実施していました。
もちろん労働組合へは
事前に説明を済ませています。

私の実施した面談は、
いわゆる「追い出し」を目的としたものではなく、

・会社の現況を伝える
・制度について説明する
・「最悪」どうなりうるかを伝える

といったことを話し、
応募するかしないか、最後の決定は
(当然ですが)従業員に委ねていました。

特に業績が悪化し続けていた局面で
早期退職制度を実施していましたので、
このまま業績が窮境に陥ると、
どのような事が起こりうるかは
ざっくばらんに説明していました。

「人件費の圧縮を行わないと、
金融機関からの支援を得られなくなる恐れがあり、
その場合、○年○月頃には資金繰りが破綻する」

「この制度に応募してもらえれば
これまでの退職金○万円と
割増退職金○万円をお支払いすることができる」

「会社に残ってもらった場合、
心情的にはうれしいが、
〜といった労働条件の悪化が見込まれる」

といった具合に説明を重ねました。

退職所得の源泉徴収票

退職者には敬意を持って手続きを進めましょう

優秀な人材が手を挙げる覚悟をしておく

早期退職制度に応募し、
第二の社会人人生を歩もうとする人は
そもそも市場性のある人材です。

つまり優秀な人材が
真っ先に手を挙げて辞めていくことが
大いにあり得るわけです。

想定していなかった人が応募したり、
特定の部署に多くの応募者が出たり、
想定外の事態が発生することは
あらかじめ覚悟しておきましょう。

私が代表取締役を務めていた間、
取締役会メンバーや部門長の退職者は
発生しませんでした。

業績が窮境に陥りつつある中で、
それぞれの考えで会社に残ってくれたのです。

一方で、
何人もの従業員が
制度を利用し退職していきました。

経営者として早期退職制度を運用し、
人員バランスの適正化を図らなければいけない一方、
長年会社を支えてくれた先輩方が
一足先に退職していくのを見守るのは
率直に言って非常に寂しい出来事でした。

早期退職制度は
適切なタイミングに適切に運用すれば
経営上の大きな効果を得られます。

退職者に敬意を払い、
残った従業員を導くことが
経営者の果たすべき責任です。

関連記事

TOP