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商いのヒント

【商いのヒント021】しなやかに前向きに行動し続ける 経営者の行動にも複利の力

    西日本新聞に寄稿した中小企業支援に関するコラムです。


    【商いのヒント エヌビズの支援事例から21】

    3月末で「直鞍ビジネス支援センター」のセンター長を退任することになりました。この連載も残すところあと数回。最後をどのようにまとめていけば、少しでも地域の事業者の役に立てるだろうかと考える中、イチゴ農家「イシダファーム」(直方市)の石田大輔さんを紹介することを思いつきました。

    「減農薬や有機栽培で自然の姿に近づける」「大量生産ではなく、味の追求にこだわる」栽培がイシダファームの特徴です。コクがしっかりと出る完熟状態で出荷するため、繁忙期は日の出前から収穫するそうです。

    石田さんは2017年に開設した当センター第1号の利用者で、今まで何度も通っていただきました。つまり、この5年間定期的にご利用いただいた常連のお一人。当初の相談はジャムの販売方法など「6次産業化」に関する内容でしたが、その後の利用スタイルは変化していきました。

    他の事業者との取り組みのように、私がアイデアやビジョンを提示するだけではなく、経営者としての石田さんの行動を私自身も学ぶ関係になっていきました。石田さんも、新しい取り組みを構想する時や物事が思うように進まない時、私との会話で頭の整理をしているようでした。

    18年からジャムを使ったソフトクリームの移動販売を開始。キッチンカーで県内のマルシェ、イベントなどに出店し、博多駅前でのイベントでは1日千個を販売するまでになりました。さらには収穫体験などの権利を購入できる農園のオーナー制度を導入、熱心なファンとの関係性をより強くする取り組みも続けています。石田さんは「農協頼りの販売」といった農業の固定観念に縛られることなく、事業を成長させています。

    利子にまた利子が付くことを複利と言います。例えば1万円を毎日1%増やすことができれば、1年後には37万円超になります。この複利がもたらす強い力は、経営者の行動にも当てはまるのではないでしょうか。日々コツコツと利益や信頼関係をつむぎ、その都度得たものを次に生かす。しなやかにそして前向きに行動し続ける。その結果、あるタイミングでふと振り返ると、事業の独自化と成長が成し遂げられていることでしょう。

    西日本新聞商いのヒント「しなやかに前向きに行動」

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