【商いのヒント022】価値と価格の主導権握る「ブランディング」
西日本新聞に寄稿した中小企業支援に関するコラムです。
【商いのヒント エヌビズの支援事例から㉒】
今回はイチゴ農家「イシダファーム」(直方市)の石田大輔さんの取り組みを紹介します。祖父の代から続く農家を固定観念にとらわれることなく、発展させている様子を聞きました。
岡田 新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響はありましたか?
石田 キッチンカーでイベントに出店し、ソフトクリームを販売することが多かったのですが、コロナで無くなりました。しかし、最近は個人や店舗に直接呼ばれるようになりました。SNSはもちろん、人のつながりを重視していたのが奏功しました。
岡田 石田さんは意識して商品や農場のイメージを高める「ブランディング」を行っていますね。どのような考えで経営しているのでしょうか?
石田 自分で価値と価格の主導権を握っていたいと考えています。例えばブランディングのためには、作業着は自分の感性と合致するおしゃれなものを着ていますし、作業後の汚れた服で外出することもしません。また出荷先も、購買力のあるお客様からの信頼が厚い小売店を厳選しています。
岡田 石田さんが思い描く成功を実現するため、他に心掛けていることはありますか?
石田 地域にはモデルにしたいような形で成功を収めた同業者はいません。そのため、異業種や市外、県外の方と積極的に交流するようにしています。
岡田 私が繰り返し提案しているのは「農業者向けのマーケティング塾」の開催です。
石田 ぜひ取り組みたいです。栽培の技術よりも、生産者に合った販売方法やブランディングを伝えていきたいと考えています。安さだけを追求するのではなく、味が良い作物を適正価格で取引できるような経営を学ぶ機会を提供したいです。
私自身はファッション、音楽などの要素をブランディングに取り入れることで、この仕事が大好きになりました。好きなことだけではやっていけないかもしれませんが、自分らしさを表現するためのエッセンスは取り入れた方が良いと思います。
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