【商いのヒント018】何より幸せな事業者の躍進
西日本新聞に寄稿した中小企業支援に関するコラムです。
【商いのヒント エヌビズの支援事例から⑱】
「これまでエヌビズと共に行動し、私たちも成長し続けることができています」と話してくれるのは、社会福祉法人わんぱく福祉会「わんぱくハウス」(福岡県直方市)の射場(いば)小百合さんです。
わんぱくハウスが行うのは、児童発達支援や放課後デイサービスなど。子育てに悩んでいたり、さまざまな事情で子どもの預け先がなかったりする人など、子どもと保護者に向け、保育や子育て支援サービスを提供しています。
当センター開設当初から、80回以上にわたって利用している射場さん。2017年3月、初めての相談は「施設の認知度を上げ、利用者を増やしたい」というものでした。
私からの提案は、地域の幼稚園や保育園にわんぱくハウスの「強み」を知ってもらえるよう、積極的な営業活動を行うことでした。
強みとは、射場さんの豊富な経験から、障がいを持つ子どもをはじめ、酸素吸入器が必要な子ども、てんかんなど持病があって幼稚園に通えない子どもらを預かることができることでした。このことが、地域の関係者に十分に知られていなかったからです。
その後、行政の窓口などにチラシを置くだけにとどまらず、地域の幼稚園や保育園との関係性を深め、本当に支援を必要とする家庭との接点を増やしていきます。熱心な取り組みの結果、「こういう施設があるのなら、紹介したい家庭がある」などの申し出により、半年で利用者が10人増えたとのことです。
また、19年6月から継続して取り組んでいるのは、ホームページ(HP)の自主制作と情報発信です。「安易に業者に外注するのでなく、施設の魅力を自分たちの言葉で丁寧に伝えたい」と、職員がゼロから学んでサイトを立ち上げ、更新を続けています。
公開は今年8月。それまで電話での問い合わせがほとんどだったのが、HPからも問い合わせが入るようになり、さっそく新規利用者8人の入所につながりました。
手応えを感じた射場さんは、来春には障がい者就労支援施設を併設し、「障がいを持つ方々の『働きたい思い』にも応えられるようしていきたい」と、次の目標に向けて動きだしました。「障がい児が安心して通えるだけでなく、就職の道が開ける施設にしたい」という射場さんの夢がいよいよ実現します。
センター開設当初から応援させてもらっている事業者の喜びを、すぐそばで共有できるのは何より幸せなことです。中小企業を支援する側の一方通行の応援ではなく、私自身も事業者から良い夢を見させてもらっています。
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