【商いのヒント011】DX推進には社外の協力を
西日本新聞に寄稿した中小企業支援に関するコラムです。
【商いのヒント エヌビズの支援事例から⑪】
前回ご紹介した外壁塗装業の株式会社「フクモト工業」(福岡県鞍手町)の福本満寿男社長とデジタルトランスフォーメーション(DX)による売上アップ事例を振り返ります。
岡田 以前から倉庫や事務所の環境整備に熱心に取り組まれていましたね。スマホで塗料の残量を把握できる「クラウド型在庫管理システム」の開発に踏み切った理由を教えてください。
福本 塗料缶の管理は以前からの大きな課題でした。例えば「在庫の塗料は何色で残りは何キロか」ということがリアルタイムで把握できなかったのです。その上、無駄にした塗料を廃棄するのには処理費用がかかってしまいます。これらの課題を解消しようと一念発起しました。
岡田 アプリを新たに開発するなどシステム開発会社と協力して取り組んだと伺いました。社外パートナーとの連携では、さまざまな苦労があったと思います。
福本 システム開発会社には当然、塗料についての知識がなく、イメージがうまく伝わりませんでした。しかし、丁寧にやりとりを続け、お互いの理解を深めていきました。全体像や完成形を共有できるようになると「簡単には実現しないだろう」と思っていた機能も実現しました。
岡田 従業員のみなさんは、新しい在庫管理システムをスムーズに受け入れたのでしょうか。
福本 導入時は「新たな手間が増えた」と思っていたようです。しかし、現場で塗料の在庫状況を正確に把握できるようになるなど効果を実感すると、必要不可欠なシステムだと認めてくれました。塗料へのコスト意識が大きく高まったと感じています。
岡田 効果が実感できるからこそ、生きたシステムとして定着するのですね。DXの推進を考えている中小企業にアドバイスはありますか?
福本 経営者だけでは新たな付加価値を生み出すDXは実現できないと思います。社外に協力者を求め、知恵を絞り、実現できる方法を考えることをお薦めします。私も県機械電子研究所(北九州市)、システム開発のキューブリック株式会社(直方市)などに助けてもらい、構想を実現することができました。
岡田 今後はどのような展開を考えていますか?
福本 同業の13社も導入したこの在庫管理システムを進化させ、塗料缶を電子はかりに載せるだけで、残量を共有できるようにしたいです。塗料メーカーのアプリとも連携して利便性を高めていくことも検討しています。
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