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商いのヒント

【商いのヒント010】無駄を省きながら新事業へ 効率化にとどまらないDX

    西日本新聞に寄稿した中小企業支援に関するコラムです。


    【商いのヒント エヌビズの支援事例から⑩】

    今回ご紹介するのは、外壁塗装専門店が、先進的なIT技術を導入して自社の課題を解決したばかりでなく、新事業による売り上げアップにもつなげたという事例です。

    福岡県鞍手町の株式会社「フクモト工業」は創業60年を超える外壁塗装の専門店です。高い技術を持った職人による丁寧な施工が強みで、地域に根ざした商売を続けています。そんなフクモト工業の課題は「塗料の管理システムが構築されていないこと」でした。これまでは無駄な在庫を抱えがちだったといいます。

    この課題を解決するため、福本満寿男社長は社外研修で出会った事業者と共にオリジナルの「クラウド型在庫管理システム」を開発。導入後は、従業員全員が最新の在庫状況をスマホから確認できるようになりました。「どの色の塗料で、あとどれだけの広さを塗れるのか」が可視化され、生産性の向上を実現したといいます。

    当センターに「システムが完成したよ」と連絡があったのは2020年11月。倉庫を見学した後、私がお話ししたのは「知的財産保護とシステムの外販の可能性」についてです。

    形のない塗料缶の管理システムといえども会社の立派な財産です。長年の知見が詰まったシステムを法的に保護するために特許の申請を提案しました。さっそく私が懇意にしている弁理士を紹介し、申請と商品名の商標登録も済ませました。

    また、このシステムを同業他社により多く販売していくために塗料メーカーと連携することを提案しました。塗料メーカーの幅広いネットワークを通じて販売できれば、せっかく開発したシステムを多くの会社にも役立ててもらうことが可能となります。

    福本社長は現状に満足することなく改良を続けています。初期バージョンでは手作業で行っていた塗料缶の計量を電子はかりと小型コンピューターを使用し、クラウド上で瞬時に共有できるように自動化。この改良には当センターが紹介したシステム開発に強みを持つ「キューブリック株式会社」(直方市)が対応しました。

    コロナ禍により、単なるIT化からデジタルトランスフォーメーション(DX)へとかじを切る企業が増えているといいます。DXの目的は現場業務の効率化にとどまりません。フクモト工業のクラウド型在庫管理システムは塗料の無駄な在庫を減らしただけでなく、同業他社へのシステムの外販という新事業を可能にしました。経営者が率先してDXに取り組み、売上アップを実現したのです。

     

    西日本新聞 商いのヒント 業務効率化にとどまらないDX

    西日本新聞 商いのヒント 業務効率化にとどまらないDX

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