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コラム

コンサルティング現場のリアル

    建前や理論を振りかざすのがコンサルティングではない

    仕事柄、ビジネス書をよく読むのですが、読み応えのある本はとても明解にまとめられています。

    ビジネス書に書かれていることは程度の差はあるものの、いずれも役に立つことです。ただ、実際に現場で経営者が対応を迫られることは「デザイナーに頼んでパッケージを変えたのにまったく売れない」「仕入先から値上げ要請が来たけれども特定の会社だけ優遇できない」「経営者にはとても感じの良い管理職なのだが、どうやら部下には不満が溜まっているようだ」といった地味なことばかりであったりします。

    ビジネス書から学びを得たとしても、建前や理論を振りかざすだけで、こうした目先の事象に対応しきれるわけではありません。私のように生々しい商売の現場を経験している経営コンサルタントとしては、それっぽい単語を並べ立てて抽象的なアドバイスをするのではなく、地に足を着けた商売に資するコンサルティングを行うように心掛けています。

    商売に「魔法の杖」は無い

    私と初めてお話しさせてもらう経営者には「魔法の杖(SNSとか)で売上アップを実現したい」と期待されている方も多いです。そういった方と対話をしているとそもそも「商売の足腰の部分(顧客名簿の整備、商品やサービスの独自化、従業員・仕入先との関係先構築など)」の詰めが甘い場合がほとんどです。

    そのため「たとえばSNSを使ったからといって売上はすぐに増えません。地味に思うかもしれませんが、既存顧客に商売っ気なしのニュースレターを出しましょう。遠回りに見えますがこの方が売上に繋がりますよ」などとお話しさせてもらうことがよくあります。

    かつて「外壁塗装会社の塗料缶管理システム」「電子機器製造会社の新商品開発」のコンサルティングをさせてもらったことがあります。どちらもそれなりに貢献することができたと自負していて、実際にメディアでも事例が取り上げられました。

    このあたりが興味深いところで、私は塗装業界出身者でもなければ、電子機器開発業の技術者でもありません。

    しかしどの業種であったとしても、売上アップのお手伝いは可能です。理由は心の底からその相談者さんの立場になりきれるから。そしてどの業種でも商売の原則は変わらないからです。SNSなどの飛び道具に頼らずとも、商売の本質部分を見に行けば、そこには必ず売上アップのヒントが潜んでいます。

    積まれた本

    地に足を着けた商売に資するコンサルティングを行っています

    未来の選択肢を増やす

    相談者さんの立場になりきると自ずとインプットの質も見ようとする世界も変わってきます。「こういった思いと歴史があって、資金繰りがこういう状況で、手持ちのカードはこれとこれで、、、」といった感じで相談者さんになりきるのです。

    コロナ前と比べて「この先どうしようか?」と途方に暮れる方が増えていますし、しばらく減ることはなさそうです。なぜ途方に暮れてしまうのか?と考えを深めると、「(可視化されている)選択肢が少ないから」かもしれません。となると今から経営者が未来に対してできることは、経営の選択肢を一つでも増やしておくことです。

    私の場合は、元々、江戸時代から続く茶わん屋でした。家業の商売しかしていなければ獲得できる選択肢(相談対応の幅広さ=コンサルティング能力)には限界がありました。しかし、家業を離れたあとも行政の事業相談窓口で2,600件超のコンサルティング経験を積み重ねることができたので、家業=食器業界の外の世界を知り、経営の選択肢を潤沢に用意することできているのです。

    経営コンサルティングに必要なのは資格でもなく、業界経験や技術でもありません。相談者の立場になりきる覚悟と、「経営」の選択肢の数とその奥深さです。

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