コミュニティを意識して作る
顧客との関係性構築が重要だといつも言っていますが、具体的にどのような考え方で取り組めば良いのか書いてみます。
ある飲食店の事例
オープン当初はそこそこ賑わっていたものの、1年が過ぎる頃から売上が落ち始めました。特に常連さんの客足が遠のいているようだとのことでした。
常連さんの足が遠のくと、売上を補うために新規客を開拓しなければいけません。その新規客も定着しないとなると、またさらに新規客を追い求め続けなければならず、体力勝負の負のループにはまってしまいます。
この店に常連さんが定着しなかった理由はここでは触れませんが、とにかく、再び地域のお客様に集ってもらうための仕掛けが必要です。
一石二鳥のアイデアを提案
そこでご提案したのが、以前から取り組んでいるランチ営業をさらに魅力あるものにし、お客様とのコミュニティ作りのきっかけにもしてしまうアイデア。つまり、売り増しと顧客との関係性構築の両方に資する、一石二鳥を目指します。
具体的にはお客様に鍋やタッパーを持参してもらい、スタッフ手作りのカレーをご自宅で召し上がってもらう方法です。ポイントは2つあり、宅配サービスは提供せずに必ず来店してもらうことにしたことと、持ち帰り用の容器を持参してもらうことにしたことです。
売上補填のためにテイクアウトも始めたいけれど、お客様との繋がりも大事にしたい。さらには使い捨ての容器を使うことなく提供したい。そんなオーナーの思いが込められています。
この取り組みは成功。オーナーの思いに共感したお客様からは「使い捨ての容器でないのがうれしいです。鍋にカレーを入れてもらう体験も新鮮でした」といった感想が寄せられたそうです。
今後は「鍋カレー」のお客様を集めたイベントを開催するなど、コミュニティ作りにも応用していく予定とのこと。一時の売上アップに慢心することなく、顧客が店に通い続ける仕組みを作り、さらには顧客とより強い絆を築こうとしているのです。
消費者は「きっかけ」を求めている
飲食店に限らず、来店のきっかけを提示することでコミュニティ作りが可能です。消費者は多くの選択肢を持っていて、その中からどの商品やサービスを選ぶかのきっかけを探し続けているのです。例えば私のようなコンサルティング業であっても、私設図書館のように先生が選んだ本を本棚で見せたり、朝活の勉強会や読書会を主宰することで顧客との絆を強いものにすることが可能です。
常に新規客を探し続けるのは、いつか必ず破綻するチキンレースです。コミュニティが生まれれば顧客とのつながりは強くなり、継続して選んでもらえることが可能になります。ぜひ意識してコミュニティ作りをおこなってみてください。
関連記事