情緒的価値に重きを置く
戦後まもなくは商品をいかに仕入れるかが
商売人の腕の見せ所でした。
現代では自社の商品やサービスに、
どういった価値を付加すれば良いのでしょうか。
機能的価値ばかりを強調しても選ばれない
価格やサイズなどの情報ばかりを伝えても、
消費者の買う気をそそることは難しいです。
これだけモノが溢れていると、
基本的に新たな買い物をする必要はなくて、
「買わないのが一番の節約」
になってしまうからです。
ではどうすれば消費者に、
自社の商品やサービスを選んでもらえるのか。
価格やサイズ、使い勝手などの機能的価値に対し、
「この会社の姿勢が好きだから買う」
「品質は同じだけどこちらが好き」
「あちらが安くこちらは高いけど
それでも応援しているから買う」
みたいに選ばれる理由となるのが
情緒的価値です。
情緒的価値の事例
私がいつも利用しているワインショップの事例です。
どなたかへのお見舞いやお返しの際に
このワインショップのオーナーに連絡します。
伝えることは
・用途(お見舞い、お返し、誕生日など)
・予算
の2つだけです。
あとはオーナーが見繕って、
ふさわしいワインを発送してくれます。
ここまでだと、
どこにでもある酒屋さんと同じサービスでしょう。
このお店がすごいのは、
オーナーが手書きで
商品説明のカードを添付してくれること。
さらに送り主にもその情報を知らせてくれます。
例えば
「フレンチの神様ジョエル・ロブションが惚れ込んだシャンパーニュ。自然農法・有機栽培です。①最初の一口でエネルギーを感じる第一印象。一番搾り果汁のみを使用したピュアでフレッシュな辛口。②滑らかできめ細やかな泡が持続し、お祝いのシーンを盛り上げます」
といった感じです。
このカードの効果は
・受け取った側が、送られてきたワインがどんな商品なのか、
なぜこのワインを選んでくれたのかを知ることができる
・もう一つ、送った側が「オーナーに任せてよかった」と
安心を得ることができる
の2点です。
機能的価値だけなら、
ワインを送ればそれで終了です。
しかし商品カードを添付し、送り主にも見せることで
情緒的価値を付加することができています。
同じワインを買うだけならば、
大手ECモールでより安いワインが見つかるでしょう。
でも、
オーナー手書きの商品を説明するカード
=情緒的価値があるからこそ、
私はこのお店を使い続けているのです。
情緒的価値の伝え方には工夫が必要
ワインショップのオーナーが添付してくれる、
商品カードの事例をお伝えしました。
例えば、
このカードが商品に添えられるのではなく、
お店のECサイトから
ダウンロードするようになっていたらどうでしょうか。
また、
手書きではなくて、
Wordで作成しコピー用紙で出力したものだったらどうでしょうか。
どちらの場合も、
情緒的価値は大きく減ってしまいます。
つまり、
「情緒」を感じ取ることが
ほとんどできなくなってしまうわけです。
数字やスペックなどの
機能的価値ばかりを訴求するのではなく、
情緒的価値に重きを置くことが大事な時代です。
またその情緒的価値の伝え方には
どうやらちょっとした手間や心遣いが必要。
ぜひ自社の商品やサービスにふさわしい、
情緒的価値を顧客に伝えてみてください。
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