地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

お盆に考えたこと

    日曜日の今日は仕事の話は少しお休みして、今、ぼんやりと頭の中にあることを書き出してみたいと思います。

    この2ヶ月で、改めて家業を投資ファンドに事業譲渡した経験を世間の皆さんに知ってもらうことができました。一つ目のきっかけは日経BP社の単行本「なぜ倒産 令和・粉飾編」に取り上げられたこと。二つ目のきっかけは日経電子版に同書の内容が転載されたことです。こうしてメディアに露出すると、講演のご依頼や、感想のDMをいただくことにも繋がり、新たなご縁ができそうなことに感謝しています。

    元はというと京都の中小企業が破綻した話です。何かに成功した話ではないですし、ましてや売上をV字回復しただとかという成功談ではありません。それなのに皆さんが興味を持ってくれるのはなぜなのか。興味を持つどころか、今の私の生き方に共感して応援してくれる方がたくさんいらっしゃることに、率直に言って毎度戸惑います。

    私が社長をしていた5年少しの間、ガバナンスの大きな方針は「責任は代表取締役が取る」でした。年上従業員ばかりの同質性の高い会社でしたので、彼ら彼女たちに任せておけば日々の業務は差し障り無く廻っていきました。私はたまに起きるトラブルや金融機関対応、仕入先さんとのコミュニケーションに目配りしていればよかったのです。

    従業員とはよく飲みに行きました。会社がまだ上り調子だった頃の様子を聞かせてもらったり、バブル前の忙しかった店舗の出来事を面白おかしく教えてもらったり。社長と従業員という関係ではなく、同じ会社の先輩と後輩として、とても楽しく、とても愛おしい時間を過ごさせてもらいました。

    しかし、もう家業は無くなりました。あの先輩達との日々の苦闘も過去の話です。もちろん、仕事の後に夜遅くまで語り続ける機会も取り戻せません。何か後ろ髪を引かれるような思いですが、第二の社会人人生を前に進んでいくしかないのです。

    大正初期のたち吉本店

    この写真に写っている人物はどなたなのだろう

    私は2017年から中小企業支援家に転身しています。自分の家業もまともに存続させられなかったのに、地方中小企業を「支える側」に立場を変えたのです。幸いに多くの経営者との出会いがあり、さらには私の知恵とアイデアを上手に使ってもらうことができ、ささやかに貢献できている自負はあります。「経営」にゴールはありません。事業は存続させるものだからです。今週も来週もコンサルティングの予約を入れてもらっています。どなたかに貢献できる限り、こうして自分の役目を果たそうと思います。

    お盆は亡くなったご先祖様が、あの世と呼ばれる世界からこの世に戻ってくる期間のことです。家業の先達たちに思いをはせながら、私ももう少し頑張ろうと思っています。

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