地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

地方中小企業がこれ以上公的支援を当てにしてはいけない理由

    スタートアップとは何か

    「指定補助金等の交付等に関する指針について」(令和4年6月3日 閣議決定)という指針が出されています。

    https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/sbirseido/r4_sisin.pdf

    この指針によると、
    ・本年(令和4年)は、岸田政権にとってスタートアップ創出元年である
    ・従前のSBIR制度の課題として、成長企業の創出やイノベーションの創出には十分に機能していない状況にある
    ・むしろ支援先企業の方が売上が低下している等の結果がある
    とのことです。

    SBIR制度というのは、スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度です。

    さらにスタートアップという言葉の定義は、明確なものはどうやらありませんが、例えば創業から数年以内の創業間もない企業で、上場を前提に、多額の資金を調達している、もしくは調達を目指している企業などがスタートアップと呼ばれているようです。つまり、新規創業した企業をなんでもかんでもスタートアップと呼ぶのではありません。一定の成長性が客観的に見込まれる企業が「スタートアップ」だということです。

    国はスタートアップ支援に注力したい

    ここで2022年8月1日の日本経済新聞の記事によると

    岸田文雄首相は1日、新設するスタートアップ担当相を山際大志郎経済財政・再生相が兼務する人事を発令した。スタートアップ企業を5年で10倍に増やす政府の目標に向けた5カ年計画の策定を主導する。

    とのことです。

    これらの状況から読み取ると、国が積極的に支援していこうとしているのは、イノベーションを創出するような「スタートアップ」であって、全企業のうち99.7%を占める中小企業全体の支援を想定しているわけではないようです。

    ちなみに中小企業は 従業者数・付加価値額(製造業)においてもそれぞれ7割、5割以上を占めています。 また、小規模企業は全企業数の9割弱を、また雇用の1/4をそれぞれ占めています。

    金物商社の店頭の様子

    老舗はしなやかに変わり続けて今があります

    地方中小企業は公的支援を当てにしてはいけない

    限られた財源でどこに注力するかは当然、政治が判断することです。イノベーションを創出するようなスタートアップを生み出したいと国が考えるのは、人口減社会などを見据えると当たり前でしょう。

    ただそこで気を付けなければいけないのが、コロナ禍で行われてきたような、地方中小企業を対象とするバラマキ型の支援は今後まったく期待できないということ。ここまで国が明確に意思表示している以上、これまで「地方創生」などを旗印に行われてきた、地方中小企業支援が増えるか減るかといったら減っていくのは明らかです。

    今後、地方中小企業に求められるのは自力での経営力強化。もっと端的に言うと、自力で事業を存続させることです。そのためにも必要なのは、顧客名簿であり、取締役会の多様性であり、従業員の多能工化などであるわけです。

    長く存続していた企業であるほど、今日も会社が存続していることを当たり前のことと捉えがちです。しかし、いわゆる老舗企業は、実はしなやかに変化し続けてきたからこそ、今日の事業があります。現状に満足せずに常に挑戦し続け、さらに今後はこれまでのような手厚い公的支援も当てにしない経営が求められます。

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