地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

社外取締役の5つの心得

    経済産業省が公表している資料で、
    社外取締役の在り方に関する実務指針
    というものがあります。

    https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200731004/20200731004.html

    この指針が、
    地方中小企業にも当てはまるのかどうか考えてみました。

    【】内は指針からの引用です。

    心得1

    【社外取締役の最も重要な役割は、経営の監督である。その中核は、経営を担う経営陣(特に社長・CEO)に対する評価と、それに基づく指名・再任や報酬の決定を行うことであり、必要な場合には、社長・CEOの交代を主導することも含まれる。】

    この心得1は非上場の地方中小企業にはそのまま当てはまらないと考えています。特に最後の社長・CEOの交代を主導することも含まれる云々のくだりです。

    オーナー=経営者である中小企業の場合、上場企業のように数年で経営者を交代させる選択肢はありません。

    文字通り、人生をかけて経営に当たっているのが地方中小企業の経営者。個人保証を余儀なくされていることもあるかもしれませんし、私財をなげうって事業を存続させていることもあるかもしれません。

    そんな地方中小企業の社外取締役に求められるのは、経営者を監督するのではなく、支えることです。

    心得2

    【社外取締役は、社内のしがらみにとらわれない立場で、中長期的で幅広い多様な視点から、市場や産業構造の変化を踏まえた会社の将来を見据え、会社の持続的成長に向けた経営戦略を考えることを心掛けるべきである。】

    この心得2は地方中小企業にもそのまま当てはまります。

    たまにいらっしゃるのが経営戦略の策定に社外取締役を関与させようとしない会社。取締役会への答申時にだけ、社外取締役に関与させるのではもったいないです。

    各事業部門のしがらみにとらわれない社外取締役だからこそ、純粋な視点で経営戦略の策定を支援することが可能です。事業計画の大きな目的から業務執行までブレずに繋げるためにも、まさに社外からの視点は有益です。

    心得3

    【社外取締役は、業務執行から独立した立場から、経営陣(特に社長・CEO)に対して遠慮せずに発言・行動することを心掛けるべきである。】

    社外取締役は業務執行を行うことは基本的にありません。しかし地方中小企業では現場に入ることもあります。地方中小企業の社外取締役は「私は社外取なので現場の業務には一切関わりません」というスタンスでは通らないのです。

    私の場合は、これまで会社が知らなかったような展示会への出展をアレンジしたり、業務執行上の参考になるような会社見学の仲介を行うこともあります。

    取締役会だけで意見の表明をするのではなく、地方中小企業にふさわしい泥臭い立ち回り方も必要だと考えています。

    社長室のドア

    社長を支えるのが社外取締役の重要な役割です

    心得4

    【社外取締役は、社長・CEOを含む経営陣と、適度な緊張感・距離感を保ちつつ、コミュニケーションを図り、信頼関係を築くことを心掛けるべきである。】

    この心得4はまったくその通りです。

    オンラインでの取締役会をいくら繰り返しても、社長と関係性を構築することはできません。オフタイムのコミュニケーションも行うことで、お互いの理解が深まります。

    私の場合は、定期的に社長にご連絡することを怠りません。こんな本が参考になったとか、今朝の新聞記事についてこう考えたのだがといった感じで、コミュニケーションを図るわけです。こうして日々のやり取りがあるからこそ、取締役会であえて嫌われ役を引き受けることもできるのです。

    心得5

    【会社と経営陣・支配株主等との利益相反を監督することは、社外取締役の重要な責務である。】

    会社は、社外も含めた取締役に情報収集・調査・検討、そして判断等さまざまな業務を委任します。 これに対して、取締役は良識と高度の注意を以って業務にあたらなければなりません。いわゆる善管注意義務というものです。

    社外取締役はコンサルタントではなく、顧問でもありません。会社法上に定められた地位の取締役として、責務を果たすべき存在です。

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