地方中小企業が社外取締役に求める3つの役割
地方中小企業が社外取締役を選任する際、
求める役割には3類型あるように感じています。
社外取締役を置きたいだけ
まずひとつ目が、
単純に「社外取締役」を置くことに
意義を見いだしているパターン。
選任した時点では、
社外取締役に積極的な仕事を期待しているわけではなく、
取締役会の構成に社外取締役が含まれれば、
それで良しとする考え方です。
悪く言うとお飾りです。
対外的に、
「当社は社外取締役に○○氏を選任しています」
と発信することが目的なのでしょう。
ただ、
それはあくまで選任当初の会社側の思惑です。
初めはお飾りに過ぎない存在であったとしても、
その後、取締役会に出席していくことで、
企業に何らかの貢献を果たすこともあり得ます。
私はこのパターンも大いに有りだと思っていて、
その後の取締役会に貢献できるのであれば、
初めにどのように期待されていたかは、
それほど重要ではないでしょう。
取締役会の変化を期待
二つ目は、
プロパー取締役に刺激を与える存在として、
社外取締役の登用を決めるパターンです。
中小企業の経営者=オーナーが、
同質性の高い取締役会の構成に危機感を抱き、
社外取締役を加えることで、
化学変化を起こそうと考えるものです。
この場合は、
社外取締役は積極的に「突っ込み役」を
果たすことが求められます。
それまで会社の「当たり前」だったあらゆることに、
「それはなぜですか?」
と投げかけ続けるわけです。
当然、
ある程度の軋轢は生じるでしょう。
しかし、中小企業が事業を存続させるには、
しなやかに変化し続けなければなりません。
そのためにも、
中小企業が社外取締役から、
現状を必ずしも良しとしない指摘を受けることは
中長期的な成長のためには必要です。
たとえ、短期的には混乱や後退することがあったとしても。
戦略立案と提案を期待
最後は、
社外取締役に経営者の番頭ポジションを
期待するパターンです。
事業がある程度軌道に乗っていたとしても、
現状に満足してしまった時点で、
成長が止まるどころか衰退が始まります。
中長期的な事業の持続可能性を担保するために、
経営者と同じ目線で物事を検討することが求められます。
具体的には、
成長戦略を描くことを期待されているわけです。
長く続いている既存の事業や、
現在の「金のなる木」に目を奪われることなく、
戦略立案をするのは、
プロパー取締役には荷が重いかもしれません。
社外取締役であるからこそ、
可能な役割の1つです。
私が社外取締役への就任を要請された場合、
上記の3パターンの
どれに当てはまるのかなと考えます。
もちろん経営者から、
どういった役割を期待していると
明言される場合もあります。
いずれのパターンであっても、
取締役会に名を連ねるならば、
企業の持続可能性を高めるために
それぞれの役割を果たすことが求められます。
経営者と、
業務執行を担うプロパー取締役と共に、
それまでの同質性の高い取締役会に変化をもたらし、
成長に貢献するのが
社外取締役の役割だと思っています。
関連記事