地方中小企業の経営者に求められる「数字で語る」スキル
会計、つまりカネ勘定が苦手だという経営者は
案外多いのかもしれません。
数字を把握していない経営者
5年間で2,600件以上の
個別経営相談を行ってきましたが、
自社の状況を
数字で語れる経営者は少ないです。
例えば
・前月の売上
・主力商品の利益率
・在庫の金額
などを尋ねたときに、
ズバッと答えられないのです。
私のコンサルティングは、
数字の話から入ることはありません。
でも、当然、
知恵やアイデアを提供するために
何らかの形で数字の話に
なることもあるわけです。
その時に、
数字で語れない経営者さんは、
どうしても動き出しが遅れてしまいます。
数字=事実をその場で確認できないので。
私の場合は、
自社の数字を丸暗記はできないので、
手帳(ほぼ日手帳weeks)に、
主要な数字を書き写していました。
他には、
・従業員の入社年次
・仕入先との取引金額
・借入金の内訳
とかも貼り付けていました。
すべて暗記する必要はないと思っていて、
必要なときに
いつでも引き出せるようにしておくのが
重要だと思います。
銀行担当者と話すときの準備
取引金融機関の担当者と話す際に、
どのようなことに気を付けていますか?
私は
「数字で語る」
ことを意識していました。
定性的なことばかりを話すのではなく、
会社の状況をリアルな数字で
語れるように準備をしていました。
この時も丸暗記はしません。
事前に箇条書きでメモを作成していました。
例えば
・○○店の前月の売上は○○万円で、
これの要因は〜〜だった。
・仕入先○○商店からの仕入が○○万円増えた。
それの要因は〜〜だからだ。
・来月出店予定の新店は
○ヶ月で投資を回収したい。
そのためには〜〜といった工夫をした。
といった感じです。
大した内容ではないので、
メモを作る過程で頭に入ってしまいます。
銀行担当者と話す際に、
上着の内ポケットにメモは入れていますが、
そのメモを見ながら話すことは、
ほとんどなかったように記憶しています。
業績の悪い会社でしたので、
融資を受けられていることは、すなわち、
金融機関から支援(応援)されているということです。
その支援に対し、
数字で状況を説明し、
「経営者としてきちんと状況を把握していますよ」
というサインを出すのは重要です。
経理係の初日に渡された本
代表取締役に就任する直前、
8ヶ月ほど経理の仕事をしていました。
その着任初日に
上司から渡された本があります。
「稲盛和夫の実学―経営と会計」で
裏表紙には
「儲けとは、値決めとは、お金とは、実は何なのか」
と書かれている、会計の実務書です。
私はこの本を読んで初めて、
「会社が儲けた現金がどこにどのように存在するのか」
を把握する必要性を理解しました。
その後、私が中小企業支援家に転身し、
冒頭のような、
数字に苦手意識を持っている経営者の方には、
この本を読むようにお勧めしています。
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