値上がりしたボージョレ・ヌーボーをどう売るか
今年のボージョレ・ヌーボーはだいぶ値上がりするようです。
事例として検討してみます。
大幅な値上げを余儀なくされた商品
11月の第3木曜日に解禁されるのが、
フランス産ワイン、ボージョレ・ヌーボー。
日本経済新聞によると、
サントリーは
主力商品の参考価格を3,850円に、
ランクが上の商品は5,500円に、
それぞれ1,000円から2,000円も値上げするそうです。
さて、今年のボージョレ・ヌーボー。
私が販売を任されるとしたらどうしましょうか。
ボージョレ・ヌーボーは売らない
ひとつ目の選択肢は売らないということ。
前年から1.3倍以上の価格になったのであれば、
それ以上の価値を顧客に提供できなければなりません。
円安がどうとかは顧客には関係ないのです。
消費者に何より嫌われるのは、
売り手の都合を押しつけることです。
価格以上の価値を明確に示せないのであれば、
売らないという選択肢もあり得ます。
ただし、ただ単に売らないのではその後に繋がりません。
私が今年のボージョレ・ヌーボーを売らないと決断するなら、
以下のような「あらすじ」で対応します。
「今年は前年までと比べてこれだけ値上がりします」
↓
「残念ながら私の中では、
質と価格のバランスが取れる商品ではなくなりました」
↓
「ついてはボージョレ・ヌーボーの代わりに
楽しんでいただきたい商品はこちらです」
みたいな感じです。
何が何でもボージョレ・ヌーボーを売ろうとするのではなく、
つまり顧客に商品を押しつけるのではなく、
今、代わりに心の底からお勧めしたい商品を提案します。
大幅に値上がりした、
ボージョレ・ヌーボー以上の価値を提案してくれた店舗として、
顧客との関係性を構築するわけです。
価格と価値のバランスを調整して売る
ふたつ目の選択肢は、
値上げして利益を確保しつつ売ることです。
この場合、
価格以上の価値を明示しないと、
前年の価格と単純に比較されてしまい、
顧客は不満を抱くことになります。
さて、どのように価値を付け加えるか。
数量を限定して売る、というのはどうでしょう。
「今年のボージョレ・ヌーボーは値上がりしました。
去年ほど多くの方にお買い求めいただけないと思っています。
それでも飲んでいただきたいので少量だけ仕入れています。
限定○本をご用意しました。
ぜひお早めにご予約ください」
という感じです。
ポイントは
・値上がりした事実を率直に伝える
・それでも飲んでもらいたい旨を告白する
・限定数の販売とする
の3点です。
特に、
「値上がりしているけれども、
店としてうちのお客様にはぜひ楽しんでもらいたい」
という点を訴求します。
顧客からすると、
値上げの負担を押しつけられている感覚は
ぐっと減少するのではないでしょうか。
身の回りの商品の値上げが続いています。
円安や安全保障環境の変化で、
しばらくはこの状態は変わりそうにありません。
値上げを機械的に行うだけであれば、
消費者との距離は離れてしまいます。
しかし、
価格に見合う価値を意識して創出することで、
逆に顧客との関係性を深めることも可能です。
値上げをきっかけに
顧客との距離感を詰める。
ぜひ挑戦してみてください。
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