地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

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コラム

地方中小企業へのご支援事例から何を学ぶのか

    中小企業支援に携わっていると、
    他社事例を気にする経営者が多いことに気付きます。

    セミナーや講演で気を遣うところ

    ありがたいことに、
    事業承継の体験談や中小企業支援事例を
    お話しする機会があります。

    私の場合、
    前半は家業を投資ファンドに事業譲渡した話、
    後半は中小企業支援家に転身した経緯とご支援事例
    という構成になることが多いです。

    後半の事例紹介は気を遣うところで、
    そもそもどの事例を紹介するか、
    どのように表現するか、
    他のどの事例と組み合わせるか、
    といったところは毎回悩みます。

    直前まで資料に手を入れ続けることもしばしばです。

    事業の主役は事業者で、
    我々コンサルタントはあくまでサポート役です。
    例えるなら「踏み台」といったところ。

    事業者が、
    1人では手が届かないところにある果実を
    手にすることができるように、
    知恵とアイデアを提供しているだけです。

    そのコンサルタントである私が、
    ただ1人の主役であるかのような表現はしたくありませんし、
    一方、コンサルタントとしてどのような役割を果たしたかは
    しっかりお伝えしたい。

    そのあたりのバランスを取るのに苦慮するわけです。

    「事例」を集めたがる人々

    その「事例」についてです。

    セミナーや講演を終えたあとのアンケートで
    ・事例だけ教えてくれれば良い
    ・自分と同じ業種の事例を知りたかった
    ・異業種の事例では参考にならない
    といったことを書いてくれる方がいます。

    おそらく中小企業の経営者でしょう。

    こういった方は、
    「誰もが思いつかないような劇的なアイデアで売上アップ」
    「起死回生の新商品開発が成功し世界中から注文殺到」
    みたいな事例を期待されているようです。

    さらに言うと、
    そういった事例を自社に持ち帰り、
    そのまま全く同じことをし、
    魔法の杖を振るったように業績を向上させたいと
    考えているのかなと想像します。

    率直に言って、
    こういった事業者は事例をコピーしたところで
    売上アップには繋げられないでしょう。

    私が事例を通してお伝えしたいのは、
    表面上の仕掛けでは無く、
    その時に経営者と私がどう試行錯誤し
    成果にたどり着いたかということです。

    表面上の仕掛けにしか目が行かない方は、
    事例のコピーばかりに執着しようとし、
    「なぜ」「どうして」と
    思考を繰り返すことはできません。

    セミナーの様子

    お話しする直前まで資料に手を入れることもあります

    コンサルティングの現場

    コンサルティングの現場では、
    日々、地道なご支援を続けているわけでして、
    「そのままお取り組みすれば良いですよ」と
    お伝えするだけのこともあれば、
    私からしたら近況報告をお互いにしただけなのに
    「今日は岡田と話せて良かった」と
    涙を流して喜んでくれる方もいます。

    事例にはストーリー性もありますし、
    わかりやすい成果が伴っていることがほとんど。
    だって、そういうご支援事例を選んでいるのですから。
    皆さんに興味を持ってもらえるのはある意味、当然です。

    しかし、現場では必ずしも、
    セミナーや講演でお話しするような
    カラフルな事例ばかりではありません。

    もし私の講演を聴いていただくことがあるとしたら、
    その時は、背後にある事業者の試行錯誤や、
    そこに至るまでの心の中に思いを巡らせて、
    事例から学びを得てもらいたいです。

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