地域のために地方中小企業が果たすべき役割
行政のプロジェクトに関与していると、
「中心市街地活性化」というキーワードをよく耳にします。
いまの中心市街地はどこか
人口と商業エリアの面積には
相関関係があります。
人口に対して狭い商業エリアしかなければ、
いわゆる「買い物難民」など、
生活に支障を来す人が発生してしまいます。
逆に、
人口に対して過大な商業エリアを抱えてしまうと、
商売が成り立たない事業者が一定数発生します。
行政が唱える「中心市街地活性化」は、
駅周辺の商店街を、
昔のように賑やかな姿に戻そう、
というノスタルジックな理想像を
思い描いているだけのことがほとんど。
そこには、
人口と商業エリアの面積のバランスを
考慮した発想はありません。
大規模な商業施設に
消費の実態が移っているにもかかわらず、
もはや役割を終えた、
駅周辺の商店街での消費を促すのは、
無責任な悪手です。
中心市街地活性化を目指すなら人口増が先
人口が減り続けている地域で、
大規模な商業施設はそのまま維持し、
かつ、
駅周辺の商店街を昔のように賑やかにしたいという
願望は両立しません。
ポイントは人口。
人口を増やせるのであれば、
必要な商業エリアの面積は増大します。
つまり、
大規模な商業施設に加えて、
新たな消費の場も必要になり得ます。
行政の思い描く、
ノスタルジックな「中心市街地活性化」。
これを実現するには、
人口を増やして、
その人口を賄う商業エリアの面積を
増やすのが王道です。
人口増加の取り組みが必要という、
不都合な真実から目をそらし、
耳障りの良い、
「中心市街地活性化」という言葉に
官民共に踊らされるのは、
誰の得にもならないばかりか、
無駄な税金を投入してしまうことに繋がります。
地方中小企業の果たす役割
地域に活力を取り戻すために
地方中小企業が果たせる役割は、
若い女性が都市部に流出しないよう、
働く環境を整えることでしょう。
男女共同参画白書令和4年版(199ページ)にも、
・地方における多様で柔軟な働き方の実現
・地域に根強い固定的な性別役割分担意識等の解消
などが、
地域における男女共同参画の推進に必要と記載されています。
多様な人材が、
創造的な仕事に取り組んで利益を生み出す。
その環境を整えることができるのは経営者です。
性別や学歴、年齢で役割分担を硬直化させると、
組織はしなやかに変わり続けることができなくなります。
働く人、働く環境の多様性を担保し、
自社の成長が地域の成長に結びつくような仕掛けを作ることが、
現在の経営に求められています。
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