取締役会に求められる多様性
取締役会がプロパー出身の取締役だけで構成されると、
どのようなことが起こりうるでしょうか。
同質性が強まる
組織がしっかりすればするほど、
内部の同質性が強まります。
地方中小企業の場合、
従業員が大きく入れ替わらず、
取締役会メンバーもプロパー出身だけに
なっていないでしょうか。
同質性が強まった結果、
新しいことに挑戦する気概が失われたり、
現状からの変化に、
過度に慎重になってしまったりします。
かつて私が経営していた会社もそうでした。
会社の成長期には、
先進的な商売の仕組みを考案したり、
業界の固定観念に囚われない、
新しい市場を切り開いていました。
しかし、
いつしか現状からの変化を嫌うようになってしまい、
変われなくなったと同時に、
業績を下げ続けることになりました。
地方中小企業に限らず、
会社はしなやかに変わり続けなければ、
存続することができません。
変化し続けるためにも、
取締役会の構成に
多様性を担保することが必要です。
取締役会機能の低下
企業の経営方針は、
取締役で構成する取締役会が決めていきます。
しかし、取締役会の構成員が、
社内のしがらみや利害関係に縛られがちな、
プロパー出身の取締役ばかりだとどうなるでしょうか。
考えられるのは、
・従業員身分の延長で経営判断してしまう
・オーナーに忖度して発言を手控えてしまう
・誰が何を言うか想像がつき、議論が低調になってしまう
といったことです。
いずれも健全な取締役会の姿から、
遠ざかってしまう要因になります。
取締役会本来のチェック機能を担保するなら
第三者の目線を確保する必要があります。
私の場合は、
顧問弁護士に社外取締役に就任してもらいました。
業績が悪化し続け、
外部からの資本を入れなければいけない局面で、
第三者の存在は、
取締役会に適度な緊張感をもたらしてくれました。
社外取締役に求めるべきこと
社外取締役は、
単純に経営者の知人を呼び寄せれば
済むものではありません。
業務執行側からの独立性を保ち、
これまでの取引関係や企業の文化に染まることなく、
積極的に取締役会で意見を発信する役割が求められます。
こういった立場を理解して、
時に嫌われ役を引き受け、
しかし同じゴール(=企業の持続可能性を高める)を
目指すことのできる人物であることが最優先です。
中小企業のオーナーに応え続けてきた、
プロパー社員をきちんと処遇するのは重要です。
しかし、
それと取締役会の構成を健全に保つこととは別問題。
会社の持続可能性を高めるために、
取締役会メンバーに社外取締役を加えてみましょう。
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