士業マーケティング 進退を自分で決める
士業に契約はつきものです。その契約はいつか必ず終わりがやってきます。その時に相手から切り出されるのを待つのか、自分から次の進路を選ぶのか。私はできるだけ後者を選ぶようにしています。自分の人生は自分で切り拓いていきたいからです。
惜しまれつつ去る
DeNA三浦監督、今季限りで退任へ:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91622720Q5A930C2UU8000/
今季2位が確定し、まだ日本一の可能性がある中での決断です。交渉の実態はもちろん分かりませんが、球団のレジェンドの1人が惜しまれつつ退任することになりました。地位にしがみつく人が多い中で、誰もが傷つくことのない英断でしょう。
士業は顧問先などと契約を結ぶことがあります。顧問契約や業務委託契約、ひょっとしたら雇用契約のこともあるでしょう。契約であるからにはいつか必ず終わりがやってくるわけで、当事者のどちらかが何らかの意思表示をすることになります。この時、自分の立ち位置を守るためには自分でタイミングを見計らいたいものです。辞めたくないのに辞めさせられたなどというのは、勝ちか負けかで言ったら明らかに負け。交渉の主導権を握れていないことの表れです。
私も秋から働き方が変わるので、いくつかの顧問先へ休止や解除をお願いしているところです。顧問契約が欲しくてたまらない士業からしたらなんともったいないことをしているのかと思われるのでしょうが、こればかりは仕方ありません。事情を説明し、ご理解をいただいています。昨日もある会社の営業会議へ出席し、この会社との顧問契約も10月で休止とさせてもらうことにしています。私のわがままを聞いてくださる経営者さんには感謝しかありません。
何事にも辞め時というものがある
私は基本的に自分で進退を決めたいと願っています。中小企業支援家に転身してからは2回の機会がありました。いずれも居心地の良い場所から飛び出そうというもので、周りからは驚かれました。でもそれくらいのタイミングがちょうど良いのだと思っています。役割を終えても何かにしがみつくなんてみっともないですし、追い出されるなんてさらに想像したくもない事態です。であれば、周りから慰留されるくらいの時に次の挑戦を選ぶのが良いと思うのです。
一回目は契約更新を重ねて、5年超の無期雇用転換を断っての転身。そのまま残っていれば過去の成果にあぐらをかくこともできたのかもしれません。でも何事も引き際というものがあります。周りから梯子を外される前に、自分から更新を望まない決断をしました。そして二回目はこの秋のことです。完全に自営業へ移行して4年目を迎えたところですが、商売の現場へ戻ることにしました。
しがみつくのはみっともない
ある専門家は某機関での仕事を長く続けていて、ご本人はいつまでも続けたかったよう。しかし、任期満了を迎えて契約終了を通告されてしまいました。契約を延長できると思っていたのは本人だけだったようで、退任時には若干の軋轢が生じたと聞いています。こうした、仕事を既得権益のようにしてしまうのはみっともない限りです。自分だけで進退を決められるわけもないのに、根拠もなく居座ろうとするのは迷惑ですらあります。
また長期間の契約をしてもらっている間に尊大に振る舞うようになり、最後は追われるように去らざるを得なくなった専門家を見聞きしたこともあります。当初は高い志を持っていたのかもしれませんが、時が経つにつれて弊害が目立つようになりました。その姿はまさに裸の王様で、本人は周りに敬意を払われていると思っていたのでしょうが、実際は腫物を触るように扱われていただけでした。
士業は雇われる立場と違って、独自の立ち位置を築いて見込客から選んでもらう立場にあります。選ばれないのであればそれだけのこと。汗をかいて営業し、他の契約を取りにいかなければいけません。一時の快適さに安住して尊大に振る舞うようになっては「次」などやってきません。「悪事千里を走る」とはまさにその通りで、悪評はあっという間に地域や業界の間で拡がってしまうものなのです。
進退を自分で決められるというのは誰もができることではありません。多くの人が何かにしがみついてしまうからこそ、潔い進退は目を引くことになります。
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