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コラム

士業マーケティング 補助金関連業務を手がけない理由

社会保険労務士の看板を掲げていますが、社会保険の手続きなど定型業務は一切手がけないことにしています。補助金関連業務も同じく、どんなに親しい事業主から打診されても断るようにしています。

他にいくらでも得意としている同業者がいる

私の本業は中小企業支援です。今より良くなるための知恵とアイデアを経営者へ提供しています。しかし、社会保険労務士の看板を掲げているので、ごくたまに定型業務をやってくれないかとお願いされることがあります。こうした打診は基本的にすべてお断りしています。表向きは定型業務を手がける時間が無いから(事実ですよ)で、さらに言うと実務経験がないのでわざわざ私が手がける理由が見いだせないのです。

同業者の中には定型業務を中心に据えて仕事をしている人がいくらでもいるわけで、依頼するなら私ではなくそうした人へ依頼するようにと申し上げています。いかにも定型業務ができそうにない私に「ぜひ」と声を掛けて下さるのはありがたいのですが、正直に申し上げると中小企業支援の邪魔になるだけでメリットがないのです。

例の流行病が猛威を振るっていた頃、最もお世話になっている経営者の一人から電話が掛かってきて、雇用調整助成金の申請についてあれこれ尋ねられました。当時の私が知っていた情報はお伝えしたのですが、どうやら私にその手続きをやらせたいご様子でした。一瞬、お受けしようかなと心が揺れましたが、ここでこの仕事を請けてしまうとその後に後悔することになると考え、やんわりとお断りしてしまいました。「今なら窓口でも丁寧に教えてくれるらしいので、ご自分で手続きをした方が早いですよ」といったようにお伝えした記憶があります。

補助金に目がくらんでいる経営者と付き合いたくない

定型業務に含まれるのかわかりませんが、補助金関連業務は最も受けたくない仕事です。補助金をもらうことに思考を奪われてしまっている経営者と付き合いたくないのです。補助金はあくまで補助。何かをするための資金をほんの少し補助してもらうのが本来の姿であるはずです。それなのに補助金をタダでもらえるお金と勘違いしてしまった経営者は、「補助金をもらうためには何をすればいいか」と考え出してしまいます。まさに本末転倒。こんな思考に陥った経営者とお付き合いしたら、こちらもトラブルに巻き込まれかねません。

一部の報道で何人もの社会保険労務士が補助金の不正受給に関わっていたと伝えられています。私からしたら補助金業務なんかをするから、資格を失い、個人としての信用も失い、社会人人生を棒に振るようなことになるのです。差し障りのない範囲で、仕事は選ばなければいけません。もちろん他の業務で忙しければ、物理的に受けることはできません。

何年かに一回、こうした「補助金バブル」のようなことを耳にします。バブルはあくまでバブルで、いつか必ず消えてなくなる物です。そんな刹那的な仕事で小銭を稼いでいると、地に足を着けて稼ぐ力を失っていくだけです。

ある士業の事務所は例の流行病の時期に補助金や助成金で荒稼ぎしていたようです。当時は鼻息が荒かったものの、今では事務所を維持するのにも苦労している様子。補助金や助成金目当ての経営者とばかり付き合っていたので、平時に頼りにしてくれる経営者が顧客リストから消え失せてしまっていたのです。

バツの仕草をする男性

受けられない仕事もあります

独自の立ち位置を築く

独立開業したのであれば独自の立ち位置を築き、見込客から選んでもらわなければなりません。私の場合、定型業務を手がけるかどうかは自ら築いた独自の立ち位置と矛盾しないかどうかで判断してきました。判断の軸となるものを持っているからこそ、目先の利益らしきものに惑わされずに仕事を選ぶことができています。

ある社会保険労務士はスポット業務は一切しないそう。顧問契約を前提としなければ、初めてのお客様の依頼も断っているそうです。なかなか強気ですが、それがその方の独自の立ち位置ということなので、周りがとやかく言うことではありません。実際に事務所は繁盛しているようで、顧問先の信頼が厚い先生なのでしょう。

事務所経営の持続可能性を高めるためには、独立開業したすぐ後に独自の立ち位置を定める必要があります。ここを疎かにしてしまうと、儲かるか儲からないかだけで何事も判断してしまいがちです。そんな人に限って、補助金に目がくらんだ経営者に振り回されてしまうのでしょう。

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