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コラム

士業マーケティング なぜか必要とされる存在を目指す

ある経営者さんとお話ししていた時に、「あれっ」と感じた瞬間がありました。

経営者からいただいた言葉

秋から働き方が変わるので、しばらくお会いする機会が無くなりそうな企業の経営者さんへ挨拶に伺いました。その時に言われたのが、「岡田さんには一番苦しい時を支えていただきました」というもの。この言葉を聞いた時、私は「あれっ」と思ってしまいました。苦しい時を支えたという自覚がまったくなかったからです。

どちらかというと、なかなか行動しようとしない経営者のお尻を叩いてばかりで、よく言われる「経営者に寄り添う」ような生易しい支援をしている余裕はありませんでした。それでもこうした言葉を掛けてもらえたというのは、それだけ経営者が孤独を感じていたのでしょう。

中小企業支援の現場にいると、補助金の申請を手伝ったり、SNSやITの最新知識を伝えたりすることが支援だと勘違いしている専門家らしき人や機関を多く見かけます。実際にはそんなものは支援でもなんでもなく、支援側の都合を押し付けているにすぎません。事業者はそのあたりの事情をよくわかっていて、相手をしてくれているのです。本当に求められているのは、嫌われるのを覚悟しつつ、経営者の夢やビジョンを実現するための知恵とアイデアを提供することだと思っています。

私は新しい企業と顧問契約を締結する際に、「私と契約したからといって、それだけで何かが解決し、売上が増えることはありません」「会社と経営者が行動して、初めて新しい結果が生まれます」とお伝えするようにしています。文字にすれば当たり前のことに見えるかもしれませんが、世の中にはありもしない「魔法の杖」を探し続ける経営者が存在するのです。

絶対に嫌われていると思っていたのに

ある顧問先の経営者には、それほど好かれていないだろうと思っていました。他社と比べてもずけずけと意見せざるを得ない機会が多く、煙たがられているのだろうと想像していたのです。それでも言うべきことを言わなければ、わざわざ顧問契約をしていただいている意味がありません。資金不足や危機が発生するたびに、他の取締役の冷ややかな視線を感じながら諫言を続けていました。

私の想像が間違っていたと気付いたのは、契約延長の打診を受けた時です。契約は終了するのだろうと思っていたら、経営者が自ら「ぜひ今後も関わって欲しい」とおっしゃってくれたのです。小言ばかり言っていた印象しかなかった私に対し、経営者にとっては気持ちを理解してくれる唯一の存在だったと明かしてくれました。

経営者に好かれようと媚びを売るのは、中小企業支援に携わる者がもっとも避けるべきことです。一時的にお互い良い気分になれても、事業の成長をお手伝いする本質からは遠ざかってしまいます。嫌われようが気まずかろうが、言うべきことを言うことこそが求められる姿勢なのです。

議論する男女

経営者と健全な議論をしましょう

「なぜか必要とされる」存在になる

独立開業した当初に顧問契約を求めて「熱心な」営業をし過ぎるのは問題です。人は何かを押し付けられることを何より嫌います。売上が欲しいだけの浅い考えはすぐに見透かされ、顧問契約どころかブラックリスト入りしてしまうでしょう。

士業の理想は、経営者と対等の立場で話せる「なぜか必要とされる」存在になること。社外の人間のはずなのに会社に溶け込んでしまっているくらいの関係になれば理想的です。そうした存在になるためにはどう行動すれば良いのでしょうか。まずは自分で語らずとも価値が伝わる仕組みをつくること。メディア掲載や情報発信により、自分の代わりに価値を伝えてくれる道具を持つことです。

私の場合は、江戸時代から続く家業を投資ファンドへ事業譲渡した経緯を紹介した日経トップリーダーの記事や、西日本新聞に連載した中小企業支援事例が、その役割を果たしてくれています。またこのブログも同じ。自分の考えを隠さず伝えることで、私を知ってもらう格好の材料になっています。

士業の一番の商品は自分自身です。資格や知識は持っていて当たり前。全国に数万人いる競合も同じものを持っています。だからこそ、自分自身を理解してもらい、感性の合う経営者に探し当ててもらうくらいの余裕を持ちたいものです。

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