士業マーケティング 経営者は士業のどこを見ているか

士業のカウンターパートは経営者です。経営者がどんな点を気にしているかを把握しておくことで、お互いの仕事が進めやすくなるでしょう。経営者が士業のどこを見ているかについて書いてみます。
スピード感
まず、士業のスピード感を気にします。緊急時に迅速に対応してくれるかはもちろん、日常的なやり取りの反応が早いかも見ています。メールやチャットツールでの連絡は基本的に即レスが当たり前。何らかの事情があっても、数時間内に反応してもらえるのが当然だと考えています。
このスピード感についていけない士業は経営者からの信頼を得られません。つまり、新規の顧問契約が困難になり、あるいは顧問契約を打ち切られる可能性があるということです。時間は有限。1日24時間、1年365日は誰にでも等しく与えられている資源である一方で、何もしていなくても消えていってしまいます。その資源の価値を理解しているかどうかが重要なのです。
誰もがスマホを持っている時代に、即レスできないのはそれだけでマイナス評価の対象です。「すぐに返信したら暇だと思われそう」と言っている士業がいましたが、経営者の感覚を理解できていません。いちいち情報を手元に留めておいたら、その時間分だけ損失が発生してしまうと考えるのが経営者なのです。可能な範囲でスピード感のあるやり取りをし、次から次へとタスクを解消していき経営者の信頼を得ていきましょう。
経営者目線の有無
経営者が士業に求めているのは、教科書に書いてあるような法律の知識ではありません。知識を経営に生かすための具体的なアドバイスを求めています。「法律ではこうなっています」だとか、「これは違法です」といった話は聞きたくもなくて、日々さまざまなトラブルが発生している現場を改善し、事業の持続可能性を少しでも高めるための知恵を求めています。つまり経営者と同じ目線で経営について語ることが必要です。
ある顧問先でトラブルが発生した時に、経営者は怒り心頭で「裁判だ!」などと息巻いていました。しかし、私が紹介した士業の反応が優れていました。「裁判になっても時間とコストがかかるだけ」「こうすればこれだけの出費で済む」と現実的な解決方法を提案してくれたのです。もし経営者の言いなりに問題を拡大させていたら、とんでもない資源を浪費してしまうところでした。士業が経営者目線でアドバイスしてくれたおかげで、多少はおもしろくない思いはしたものの、事業に集中できる環境に戻すことができました。
反対にある士業は事前に労務トラブルの相談だと概要を伝えておいたのにも関わらず、明らかに準備不足でした。経営者でさえ理解しているような、就業規則と労働基準法の関係について理解できておらず、わざわざ士業の事務所へ出向いた時間が無駄になってしまいました。士業にも得意不得意の分野があるのは経営者ならば理解してくれます。ただし、準備不足はただの怠慢。先出ししておいた情報から予習をしてくれないような士業に、自社の命運を預けるわけにはいきません。

経営者は士業のどこを見ているのでしょうか
ホームページ
経営者は契約しようかどうしようか考えている士業のホームページを必ず検索します。このとき、ホームページの内容が充実していれば問題なし、中身が空っぽだと不安を覚えてその後の取引を躊躇ってしまいます。
ある士業は開業と同時にホームページを開設したものの、独自ドメインを取得せずに業者が開設しているポータルサイト内にホームページを用意しました(しかもリース契約)。業者の言いなりになって選択した形だったのですがこれが大失敗。第三者が検索すると独自のホームページらしきものが見つけられず、ポータルサイト内の情報が一番上に表示されるのです。よく調べないとホームページを用意していない士業のように思われてしまい、それだけで胡散臭く思われてしまいます。
今時、満足なホームページも用意できないというのは信用に関わります。士業ではありませんが、ある創業間もない企業はホームページがトップページのみでした。さらには住所表記が途中までで、検索されないように画像化もしている始末。そこまで見られたくないのであれば、いっそホームページが無い方がマシです。
経営者に媚びる必要はありませんが、その目線を意識し、士業事務所の経営をしていきましょう。
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