地方中小企業が持続可能性を高めるための踏み台になります

050-3557-7157

コラム

士業マーケティング 独立開業に向いていない人

少し後ろ向きな話になってしまいますが、独立開業に向いていない人について書いてみます。

数字に弱い人

試験に合格して独立開業したら、その時点で経営者となります。受験生あるいは合格者という立場から離れて、(規模はともかく)経営の最終責任者という立場に置かれるのです。経営とは事業を成長させていく行為で、数字とは切っても切れない関係にあります。もし「数字は苦手で」とか、「士業なのだから数字は関係ない」などと言い放ってしまうのであれば独立開業には向いていないでしょう。

これまで経営に全く関わったことの無い人が独立開業するのであれば、簿記3級レベルの知識は必須です。士業の試験に合格するくらいの人であれば、1ヶ月も勉強すれば合格レベルの知識を身につけることができるでしょう。このとき簿記3級に合格するのが目的ではなくて、その程度の知識を身につけるのが目的なので試験なんて受けなくてもOK。経営者としてまずは数字の素養を学びましょう。

要注意なのが税理士と顧問契約する場合です。税理士に日々の仕訳や決算を任せるからといって、経営者が数字の責任から免れられるわけではありません。専門家はあくまで道具。道具を使うためにはそれなりの知識を身につけ、大方針を自ら立てる必要があります。

ある経営者は税理士と顧問契約をしていますが、経営者として目配りすべき数字についてまったく把握しておらず、「税理士と相談します」「税理士に任せています」とばかり言っています。これでは数字の責任を放り投げているのと同じ。税理士を使っていたとしても、事態を把握し対処するのは経営者の役割なのです。

もし数字が絶対に受け入れられないのであれば、独立開業は避けるべき。一国一城の主として向いていません。どこかの事務所で雇われる立場として資格を生かせばいいでしょう。

営業を避ける人

営業が嫌だからと、士業の資格を取得して独立開業する人がいるようですが、大きな間違いです。独立開業後に営業は必ずついて回るどころか、営業しないことには売上を得ることはできません。

営業とは何かを売りつける行為ではありません。「顧問契約してください」だとか、「スポットの業務をお任せください」などと言って回る行為ではないのです。では何なのか。見込客の困りごとを収集するのが真の営業です。

商売とは誰かの困りごとを解決するか、人が嫌がる仕事を代わりにすることで成り立ちます。何かを売りつけようとする前に必要なのは、見込客の困りごとを把握することです。この過程をすっ飛ばして、いきなり何かを売りつけようとしても嫌われるだけです。

自分の身に置き換えればすぐにわかると思いますが、人は何かを押しつけられることを嫌います。理由の無いセールスもその一つです。困りごとを聞き出そうともせずに何かを売りつけようとする行為は営業にならないばかりか、逆に見込客からの信用を失う行為なのです。

そう考えると営業のハードルが下がるはず。事務所の経営に携わる者として、新しい案件を受注し続ける仕組みの構築は重要な業務です。もし営業を避けたいというのであれば独立開業は向いていません。

姫路城

一国一城の主になる覚悟を持っていますか

自己開示をためらう人

士業の一番の商品は資格や法律の知識ではなく、自分自身です。同じ資格や知識を持つだけなら全国に数万人の競合が存在するわけで、見込客から選ばれる理由は距離の近さか価格の安さだけになってしまいます。多くの競合から離れて独自の立ち位置を築くには、一番の商品である自分自身を際立たせなければいけません。この時必要なのが自己開示、言い換えれば情報発信なのです。

情報発信をして自己開示をしましょうと提案すると、必ず、「恥ずかしい」「承認欲求が強そうと思われる」「個人情報が、、、」などと言い出して行動しようとしない人が現れます。それはそれで個人の判断なので尊重しますが、自分を知ってもらう努力をせずに多くの競合の中から選んでもらいたいというのは都合の良い話です。

自分が何者であるのか、どんな経歴なのか、何を考えて仕事をしているのか、休日はどのように過ごしているのかなどを伝えることで、初めて士業事務所の一番の商品が輝いて見られるようになるのです。

amazon musicのバナー

Listen on Apple Podcasts

関連記事

TOP