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コラム

経営者と数字

経営者だからといって数字に強い人ばかりではありません。先日の日本経済新聞には減価償却費について説明する記事が掲載されていたくらいです。経営者と数字について書いてみます。

減価償却費

減価償却費について理解できていない経営者が案外、多いように感じます。つい先日は日本経済新聞の「きょうのことば」で説明されていたくらいなので、わかっていそうでわかっていない経営者がそれだけ多いということでしょう。

減価償却費とは 資産価値の目減り分計上、税負担を軽減
日本経済新聞 2025年8月27日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG266760W5A820C2000000/

私は大学で簿記3級相当の授業を受けていたものの、しばらくはそれきり放置していました。再び勉強する気になったのは家業の代表取締役に就いてから。財務の担当者はいるものの、自分の言葉で数字について語れるようにするためにも勉強が必要だと考えたのです。最初、簿記3級を受験しましたがあっさり不合格。学生時代に勉強済みだという油断がありました。そのまま再受験をするのも悔しいので、次は2級を受験。工業簿記を新たに勉強する必要があったものの何とか合格することができました。

簿記の資格を取ったからといって何かがどうなるわけではありませんが、少なくとも決算書類をざっと眺めることはできるようになりました。家業の代表取締役として取引金融機関へは何度も足を運びましたが、そのたびに自分の言葉で状況を説明するように心がけてきました。銀行の担当者は私に財務の専門的な知識など求めていなくて、「事態を正しく認識しているか」「数字で語ることができるか」というのを常に見定めようとしていたように感じます。

ところで最近の簿記検定はネットでも受験できるそう。顧問先の従業員さんに受験を勧めているのですがいつ受験することやら。いずれ経営に携わることになるのであれば、早めに勉強しておいて損はないと思っています。

債務超過

ある経営者から提出された決算書類を見ながら話していた時のことです。私のような素人が眺めても怪しい内容が含まれていたので、「実際は債務超過状態ですよね」と尋ねてみたらあっさり認めました。提出された決算書類がそもそも信用できないレベルだと認めてしまったようなもので、私からしたら重大発言だったわけですが、当の本人は何とも思っていない様子。この調子で金融機関の担当者などとやり取りしているのだろうかと心配になってしまいました。

私が代表取締役を務めていたかつての家業も、債務超過状態だったことがあります。債務超過とは負債が資産を上回っている状態で、資産をすべて売却しても負債が残ってしまう状態のこと。その時に株主に還元すべきものが残っていないわけで、いつまでも債務超過状態では事業を存続させる意義が問われてしまいます。それでも何とか投資ファンドへ事業譲渡することができたのは、粗利率が比較的高い事業だったからでしょうか。

世の中には債務超過状態の会社はいくらでも存在します。それだけですべてを否定されるべきではありません。でも事業の存続に当たって、限りなく赤に近い黄色信号が点灯している状態であるというのは正しく認識する必要があります。

靴下とサンダル

TPOを考えましょう

服装

ある経営者が銀行の担当者へ支援を要請しようとしていました。売上が伸び悩んでいて、手元の資金は減っていくばかり。運転資金を調達しようと銀行担当者を呼びつけたのです。その日、ちょうど銀行担当者を迎えに出たところを見かけて驚いたのが、経営者の服装でした。ポロシャツにサンダル履きだったのです。リゾート関係の仕事をしているわけでもないのに、休日の中年のおじさんそのままの恰好。絶対に社外の人と会う予定が無い日ならともかく、よりによって銀行担当者を呼びつける日にそんな服装をしてしまうとは経営センスを大いに疑ってしまいました。

その経営者からの要請に対して、銀行はゼロ回答でした。支援できないと断られてしまったのです。服装だけで何かが決まるわけではないのでしょうが、少なくともプラスに作用したとは思えません。ポロシャツにサンダル履きの経営者が「お金が足りない」と言ったところで、どこまで本気で受け止めてくれたことか。私であれば銀行担当者と同じような服装を選んでいたはず。数字を信じてもらおうと考えるのであれば、それなりの服装が求められるのです。

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