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コラム

士業マーケティング ただ働きをしてはいけない

正当な対価を支払うつもりが無い人から、「ちょっと教えて欲しい」などと持ち掛けられても対応してはいけません。士業は無形の商品を売っているわけですから、無償で対応してしまうとキリがなくなってしまうのです。

無料の事業相談窓口という罠

行政が実質的に運営する無料の事業相談窓口で働いていたことがあります。表面上は無料で相談できるのですが、運営コストは税金が原資。もちろん私の給料も税金から支払われていたわけで、実質的には無料のサービスを提供しているわけではありませんでした。

問題が生じたのは私が退任した後です。「無料で相談にのってくれる岡田」というイメージが定着してしまっていたので、退任後にも事業者からの個人的な連絡が相次いでしまったのです。最初こそ対応したことがありましたが、おかしいと気付いてからは心を鬼にして一切の対応を断りました。「今は個人事業でやっているので相談は有償です」と申し上げるようにしたのです。

そう伝えると、怒り出す人、無言で去る人がほとんど。今まで無料で対応してもらっていたのが急に有料になるというので気分を害されたのでしょう。気持ちは(少し)わかりますが、私からしたら当たり前の話です。相談対応して給料をもらっていたわけで、退任後に無償でお付き合いする理由はありません。ましてや今は個人事業主として顧問契約をしてもらう立場です。顧問先のためにも、いくら親しい仲だったからとはいえ無償でサービスを提供するわけにはいきませんでした。

ある人からは「ホームページに事業者の踏み台になると書いているじゃないか」と嫌味を言われてしまいました。「(顧問契約を締結して顧問料を支払っていただける)経営者の踏み台になる」のが私のモットーであって、フリーライダーのために奉仕をしたいとはまったく考えていません。

講演はコンテンツを提供している

年に数回、人前でお話しする仕事をしています。江戸時代から続く家業を投資ファンドへ事業譲渡した経験を話していて、他に同じような経験をしている人がいないらしく珍しがってもらえています。もちろん仕事なので有償。基本的には2時間22万円と設定しておきつつ、それぞれの主催者の事情に合わせて見積もりを調整させてもらっています。

ある時驚いたのが、某士業の人から無償での講演を打診されたことです。問い合わせフォームから連絡が来て、その士業の顧問先を集めるので話してもらいたいとのこと。さらに予算が限られるのでといった調子で、暗に無償での対応を求められてしまいました。非営利団体ならともかく、同じ士業に対して無償でサービスを提供しろ、なんてよくも言えたものです。2時間22万円で対応していると返信したところ、それっきり連絡は途絶えました。

講演は自分だから話せる内容をコンテンツとして提供しています。教科書に書いてあるようなことをそれらしく話しているわけではありません。他の誰かが同じように提供できないコンテンツなのですから、正当な対価をいただくのは当たり前の話だと思っています。このことを理解できない主催者とはお付き合いしないことにしています。

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繋がる権利を買っていただくのが顧問契約です

顧問契約は繋がる権利を買ってもらっている

士業が提供するサービスの一つに「顧問契約」があります。実態はそれぞれ異なるのでしょうが、多くは定期的に訪問したり、相談対応の時間を定めたりしているものなのでしょう。気を付けなければいけないのが、顧問契約は訪問に対する対価ではなく、相談対応への対価でもなく、士業と繋がる権利を買ってもらっているということ。

この本質を顧問先に理解してもらっておかないと、「今月は訪問不要なのでお支払いできません」とか、「相談することがなかったので安くしてください」などと言い出されかねません。特に顧問契約を締結して間もない時期には、一部の経営者が勘違いしてしまいがちです。顧問契約は繋がる権利を買ってもらっているものとはっきりと説明しておきましょう。

今気になっているのが、秋から働き方が変わるのに伴って顧問契約を終了したりお休みにしたりしてもらう経営者さんたちとのこと。中には「たまに連絡するかもしれないけど、その時はよろしく」などと言われてしまうことがあり、気持ちは素直にうれしいのですが「顧問契約が終了するので対応できません」などと考えてしまう自分がいます。社外取締役などで契約を継続する先があるからこそ、心を鬼にして対応しなくてはなりません。

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