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コラム

士業マーケティング 顧問契約等の優先順位

秋から働き方が変わるので、顧問契約等の変更をお願いして廻っています。ある先は終了してもらい、ある先はそのまま継続することも。顧問契約等の優先順位について書いてみます。

社外取締役の責任は重い

まず私の中で最も重いのが社外取締役に就いている会社との関係です。会社法上の責任を負うわけですから、ただの顧問とは自ずと異なります。例えば株主総会後の取締役会では緊急時の代表取締役の承継順位を定めることがあり、ある会社ではプロパー取締役のお二人に次いで3番目の立場です。顧問と違って組織に組み込まれるわけですから、当然、他の関わり方とは違う重みを感じることになります。

一方で社外取締役の最も重要な業務は業務執行取締役の監督です。日々の業務に追われて大局を見失っていないか、法令を遵守しているかなどに目を配ります。私自身もかつての家業で代表取締役を務めていた際に、顧問弁護士に社外取締役をお願いしていたので関わり方はわかっているつもり。ある会社では社外取締役に就任してもう9年目を迎えています。時に経営者の耳に痛いことも堂々と伝えていながら二年毎に改選してもらっているので、それなりにお役に立てているのではないかと自負しています。

士業事務所の経営上も、いつどうなるかわからない顧問契約よりも、社外取締役の方がまだ立場に安定感があります。長く継続して関与させていただくには、ぜひ社外取締役を目指したいところです。

行動してくれるかどうか

優先順位の二つ目は私と話した後に行動に結びつくかどうかです。愚痴ばかりをこぼされても生産的ではありませんし、せっかく知恵とアイデアを提供してもその後の行動に結びつかなければ永遠に成果を得ることはできません。私にとっては行動してくれる経営者の存在がこの仕事のやりがいに直結しています。

ある経営者とは毎月お話しする機会があったものの、先方の事情で隔月の関与になってしまいました。すると、2か月に一度のペースで話しているだけでは行動に変化が起きず、前回訪問時と同じ対話を繰り返すようになってしまいました。例えば、「取引先会を組織して関係性を深めましょう」と提案しても、実現するのに3年近く掛かってしまうような調子です。これでは意味がないと、私から顧問契約の解除をお願いさせてもらいました。苦渋の決断ではありましたが、お役に立てないのがわかっているのに顧問料をもらい続けることはできません。行動してもらえないのであれば、他の経営者との対話に労力を割きたいとも考えたのです。

報酬さえもらえれば、顧問先がどうだろうが知ったことではないと考える人もいるかもしれません。私はそうした考え方はできなくて、せっかく関与するのであれば私を踏み台に使って成長して欲しいと願っています。そのためには経営者自らの行動が欠かせません。行動してくれる経営者は私にとっても有りがたい存在なのです。

会議室のテーブルと椅子

秋から働き方が変わるので顧問先と調整を進めています

顧問料の多寡は関係するか

顧問料の多寡は関与先の優先順位に影響するでしょうか。私の場合は、「顧問料の多寡だけでは影響しない」と考えています。比較的安価な契約をしている顧問先であっても長く関与している先があって、金額だけで関与の程度に変化をつけるようなことはしていません。

もちろん私も商売ですから報酬はしっかりといただきます。例えば社外取締役であれば、どんなに関与の程度が少なかったとしても、新入社員と同じ程度はいただきたいとお伝えしています。取締役が新入社員より安い報酬というのもおかしいと考えているからです。過大な報酬をいただくつもりはありませんが、適切な金額は臆さずにお伝えすることにしています。

反対に私がお願いしている専門家の反応から、金額の多寡って大事だよなと感じたことがあります。ある専門家とはおそらくその方の最低価格で契約させてもらっているのですが、ちょっとしたことを尋ねても返信は数日経たないと返ってきません。返信を得られなかったこともあるくらいです。それで気分を害したとかいうことは無くて(本当に)、「安い金額だからしょうがないよね」とあきらめることにしています。

顧問料の多寡はあくまで目安の一つに過ぎません。金額だけに目が眩んでしまうと大事なことを見失うことになります。士業事務所の経営上も、売上をバランスよく分散させるのが望ましいはず。たくさんの報酬をいただきたい気持ちをぐっと抑えて、適切な距離感を設定しましょう。

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