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コラム

「中元」と「季節の贈り物」

中元の季節になりました。ありがたいことに私のところへも送っていただく方がいらしてありがたい限りです。ただ、私はこれまでに中元と歳暮を贈ったことはありません。その理由について書いてみます。

先輩から聞いたマナー

かつての家業では中元と歳暮も取り扱っていて、個人のお客様や法人のお客様の季節の進物を手伝わせてもらっていました。従業員間でも中元や歳暮を贈り合う文化があって、私の祖父や父も従業員さんから進物が届いていたのを覚えています。当時はまだ景気が良くて、従業員さんもそうした気遣いをしてくれる余裕があったのでしょう。

ところが私は中元、歳暮を贈らないことにしていました。これまでの人生でどなたかに中元、歳暮の熨斗を付けて進物したことはありません。理由は覚悟がなかったから。家業の先輩からは、「中元・歳暮は、一度始めたら相手が亡くなった後もその奥様へ贈り続けるべき」と教わっていて、そこまで続けられる自信が無かったからです。数年で止めてしまうようであればとてつもなく失礼なことになりますし、年賀状でさえ止めてしまおうとしている私が、ご本人が亡くなった後に残されたご遺族とのやり取りを続けるというのも負担が大きく感じられるのです。

私が家業の代表取締役に就いていたときは、すでに従業員から進物をもらうような慣習は無くなっていました。ただし、仕入先様からは中元、歳暮が届くことがあって、申し訳ないなと思いつつ、礼状をお出ししていたのを覚えています。その後、投資ファンドへ事業譲渡し、代表取締役を退任。仕入先様との密なお付き合いも減って、進物が届くことは激減しました。ただし、中には引き続き送ってくださる方もいて、あまりに申し訳ないので「今後はお気遣いは不要です」と礼状に書いて送ったものです。

調べてみると、私が教わった「いつまでも贈り続ける」という風習はどうやら一般的なものではないようです。ChatGPTで調べてみると、最近は「数年お世話になった間だけ」「異動や退職のタイミングでやめる」など、状況に応じて柔軟に対応する人が増えているそう。そう聞くと、中元、歳暮のハードルも下がります。そのうちにお贈りするようになるかもしれません。

季節の贈り物は交換することもある

一方、中元、歳暮のやり取りはありませんが、「季節の贈り物」は交換することがあります。両者の間で何が違うのかというと私もはっきりわかりませんが、後者には「良い品物を見つけたから送るね」といった軽い雰囲気が感じられます。

季節の贈り物をいただいた場合は礼状で済ます場合もありますし、私も何かお送りすることがあります。相手の状況に合わせて果物だったり、お酒だったり、冷凍のパンなどであったり。かっちりとした商品でなくても、相手が喜んでくれそうなものを選ぶことにしています。

去年の冬に変わった品種のオレンジをいただいたことがあります。ちょうどその後に家族が順次風邪を引いてしまい、息子の受験前後にバタバタとすることに。でもオレンジのおかげで栄養を取ることができ、なんとか危機を乗り越えることができました。

私が他によく贈るのがお酒。懇意にしている酒屋さんがあるので、予算などを伝えてあとはお任せしています。先日は父の日に合わせて焼酎と日本酒を送ってもらったばかりです。こうしたお店とお付き合いがあると本当に助かります。わざわざお店に出向かなくても、メッセンジャーのやり取りで済むので手間も掛かりません。その時々で珍しいお酒を選び、説明のカードを添えてくれるのもうれしいところです。

着物姿の女性が進物をする様子

中元と聞くと瓶に入ったカルピスの原液を思い出します

季節の贈り物に協力するように頼まれた

ある関与先から、自社商品を購入するように依頼されました。「季節の贈り物」の発注書を渡されたのです。協力するのは特に問題がないのですが、注文受付がFAXのみだったので躊躇してしまいました。家にFAXが無いのです。

しばらく前からプリンターも使わないようになっていて、どうしてもの時だけはコンビニの複合機を使うようにしています。その機会もほとんどなくて、この頃は自分で紙資料を出力したり送ったりすることがほとんど無くなってしまいました。そんな私がFAXで注文書を送るというのは率直に言って、とても面倒くさいのです。

聞くと、その関与先でも今どき注文受付がFAXだけで良いのかという議論があった模様。そこまで気付いていながら、他の手段で受付できないようにしているとは困ったものです。

取引先に自社商品を購入するように要請するのであれば、できるだけ手間が省けるような仕組みを作ってから声を掛けてもらいたいなと思ってしまいました。件の注文用紙はまだ手元に残されたままです。


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