新商品は誰のために生まれるのか
私が社長をしていた地方中小企業(陶磁器卸小売)では、
毎年、必ず新商品を開発していました。
業界を離れて考えたことを書いてみます。
新商品を惰性で開発していないか
新商品を開発する理由とは何でしょうか?
ここを突き詰めずに、
毎年なんとなくお決まりのスケジュールに沿って、
惰性で新商品開発を進めている会社が多いようです。
商品開発の担当者にとっては業務の基幹部分。
そこに理由は(ほとんど)必要ありません。
「なぜ新商品を開発するのか?」は
経営が考えることであって、
実務の担当者が思いを巡らすことはまれでしょう。
仕入先(メーカー、商社)から見ると、
毎年必ず新商品開発に携われるのはおいしいはず。
既存商品の磨き上げよりも、商売になるからです。
初回生産に伴う一定の発注が、
毎年必ず発生するわけですから。
商品開発が仕組み化できてしまったからこそ、
必要でないかもしれない商品を生み出し続けてしまうという、
ジレンマが発生してしまっています。
このジレンマを打ち破れるのは経営者だけです。
今ある商品を売るのが先
新商品開発より重要なことは、
既存商品を磨き上げてしっかり売り続けることです。
言い換えれば、
顧客に既存商品の価値を伝え続けること。
これを怠ると、
新商品を発売
↓
売りっぱなし
↓
売上が徐々に下降
↓
テコ入れするために新商品を発売
という悪循環に陥ります。
新規顧客開拓のワナと同じ構図ですね。
自信を持ってリリースした商品は、
きちんと消費者に向き合って、
その商品がもたらす価値を伝え続けましょう。
顧客は新商品を求めているのではない
消費者が貪欲に「モノ」を求める時代は
とっくに終わっています。
家庭に足りない物はないのですから。
いま消費者が求めているのは、
限られた家計の中から購買し、
「今より幸せになる」こと。
新商品であろうが、
既存商品であろうが、
この消費者の期待に応えなければ売れません。
で、あるならば、
既存商品を磨き上げ続けた方が効率が良いはず。
新商品に頼り続けるのは、
不毛であり、チキンレースです。
(これも新規顧客開拓と同じ)
顧客が求めているのは新商品ではありません。
「今より幸せになる」ことです。
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