士業マーケティング 選択肢を複数持つ

士業事務所の持続可能性を担保するには、「複数」がキーワードになります。何か一つに寄りかかっているのは健全ではありません。選択肢を常に複数持っておくことで、心と財布に余裕が生まれます。
売上の柱を複数持つ
特定の顧客だけに売上を依存していると、その顧客との取引が無くなった時に呆然とすることになります。また顧客からも足元を見られることになり、決して健全な状況とはなりません。ひとつの大口顧客よりも、三つくらいの「中口」顧客を持つことを心がけましょう。
私の場合は売上の柱は大きく二つ。どちらかが消えてなくなったとしても、最低限食べて行けるだけの報酬はいただいています。背水の陣で仕事をするという考え方もあるのでしょうが、私は常に余裕を持っていないと心配になる性格です。
さらに言うと、将来の選択肢も常に複数持つようにしています。現在地の居心地が良いからといっても永続することは絶対にないので、次に進むべき道を常に複数見据えておくように心がけています。今も同じ。現状に不満はありませんが、次の選択肢を複数持っています。未来をコントロールするつもりはなくて、あくまで「備えよ、常に」という考え。いざというときに頭を真っ白にしないための心構えです。
人前で話せるネタを複数持つ
士業の一番の商品は資格や法律の知識ではなく、自分自身です。個性を前面に出して知ってもらえるように立ち回る必要があって、そのためには人前で話せるネタが必要です。しかし、教科書に書いてあるようなことを話しても誰にも共感されません。自分しか語れない独自のコンテンツを用意しましょう。趣味と資格を掛けあわせたり、失敗体験を積極的に開示したり。独自のコンテンツというと難しく思われるかもしれませんが、これまで歩んできた人生を棚卸すれば魅力的なストーリーを必ず用意することができます。
さらにネタを複数用意しておけば、セミナー等で話す際のコンテンツに再構成することが可能です。ひとつのネタでは15分間しか話すことができなくても、複数用意しておけば30分、45分と繋いでいくことが可能になります。例えば私の場合は江戸時代から続く家業を投資ファンドへ事業譲渡した経験と、その後に転身した中小企業支援家として手掛けた支援事例を話すのが定番のコンテンツです。私にとってはこれまで歩んできた当たり前のストーリーであっても、他人にとってはわざわざ耳を傾けたくなるコンテンツになるのです。
人前で話す目的は「知ってもらうため」です。繰り返しですが、士業の一番の商品は自分自身。自分が何者で、何を考えているかなどを伝えることによって、見込客から選ばれるようになるのです。

複数の選択肢を用意しておきましょう
情報発信の媒体を複数持つ
士業に情報発信は必須です。同じ資格を持つ競合が全国に数万人いるのですから、その中から選ばれるための仕掛けが必要なのです。情報発信を怠っていると、見込客からは距離の近さと報酬の安さだけで比較されてしまいます。そんな不毛な条件で選ばれても、長く良好な関係を築けるとは思えません。
情報発信には様々な媒体があるので自分と相性の良いものを選べば良いでしょう。文字、音声、動画、画像。スマホさえあれば、いずれの媒体でもひとまず始めることができます。さらにお勧めするのが複数の媒体を持つことです。どうせ一つの媒体で情報発信をするのであれば、そのコンテンツを流用して他の媒体にも展開しましょう。媒体を増やせばそれだけリーチが増え、見込客に選ばれる確率が高まります。
私の情報発信のベースはこのブログです。文章を書くのが得意なわけではなかったのですが、なんとなくブログを毎日書くようになり、今では3年超も連続で更新しています。毎日、自分の意見や考えを書き続けているので、私のことを知ってもらおうとするのであれば、まずはこのブログを読んでもらえればOKと言えるまでの存在になりました。
次の媒体に選んだのがポッドキャストです。以前に関わっていたあるプロジェクトでコミュニティFMの番組に出ていたことがあり、その時の経験を生かして音声媒体での発信も始めました。進行台本はこのブログに書いた記事をベースにしているので、ゼロから何かを考える必要はありません。うまく手間を省いて情報発信の媒体を複数、運用することができています。
ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています
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