知人から依頼される時、知人に依頼する時

知人と仕事で絡むことが続きました。商売の「貸し借り」について書いてみます。
お世話になった方からの依頼
先日、以前に大変お世話になった方から講演の依頼がありました。電話が掛かってきて、「こういう話があるのだけどどうか」とおっしゃるので「やらせていただきます」と即答しました。報酬についても尋ねてくれましたが「いくらでもいいですよ」と同じく即答。「それじゃ、また」ということでやり取りは終わりました。
お世話になった方から声を掛けていただいたのだから、難しいことを言うつもりはありません。自分のベストを尽くすだけです。報酬についてもすでに大変お世話になっているので金額がどうとか話すのは失礼というものです。お互いに信頼関係があるからこそ、瞬時にやり取りを終えることができました。
さらに言うとこうしてすべてをお任せできるのも、ぜったいに悪いようにならないと確信しているからです。以前に、お会いしたこともない人から同じように講演依頼がありましたが、いつまで経っても要領を得ず、最終的にお受けする前にこちらからお断りしてしまったことがあります。依頼の仕方があまりに一方的で、お互いが幸せになれそうにないと感じてしまったのです。
ところで肝心の講演内容はどんなものをご希望なのでしょう。そのあたりも含めて、身を委ねることにします。
部活の後輩への依頼
ふとした拍子に部活の後輩が面白そうな講演をしていることを知ったので、講師をしてもらえないかと依頼しました。Facebookのメッセンジャーで連絡したところ、その場で承諾してくれすぐに講演の骨格が定まりました。謝金や交通費等の取り扱いも私に任せてくれるとのこと。薄謝で申し訳ないけれど、先月、高級中華料理店でご馳走したばかりということもあってか気持ちよく受けてくれました。
私が講演やセミナーを企画する場合は、他でやっていないようなコンテンツを提供しようと心がけています。それらしいコンテンツであればいくらでも他の団体が企画しているので、せっかく企画するのであれば他の団体に真似されるようなものを提供したいと考えています。そんなことを考えていた私にとって後輩の講演はまさにぴったり。某業界の現役経営者として、最新の知見を提供してくれることになりそうです。さっそく関係者の耳に入れてみたところ、皆さん興味を持ってくれている様子で、今から当日が楽しみです。
もちろん終了後にはまたご馳走しなくてはいけません。前回は東京から福岡に呼び出して高級中華をご馳走したので(しつこい)、今回はどこに行けばよいでしょうか。ちなみに部活の後輩といっても、うちの部は年功序列的なものは弱くて、現役中からOBOGになるまでの貢献度順で序列が定まります。私もそこそこ貢献した自負はありますが、選手としての実績も含めて彼の方がはるかに貢献度大。それほど偉そうに接することができない後輩なのです。

最近、図書館へ行っていません
商売って「貸し借り」が強い意味を持つ
こうして仕事をしていると、商売というのは「貸し借り」というのが強い力を持つと思い知らされます。どこか前時代的な響きを持つ単語ですが、私は悪い意味には捉えていなくて、仕事を円滑に進めるためには必要な要素だと思っています。
以前に公務員の知り合いにこの貸し借りについて話したところ、「仕事に貸し借りを持ち込むなんて」と一瞬、嫌な顔をされてしまいました。でもどこの誰だかわからない人と最初から心を開いて仕事をすることなんてできません。貸し借りがあるような関係だからこそ、お互いに間違いのない仕事をすることができるのだと思うのです。
貸し借りといっても、何かをしてもらってからでないと行動しないというのは間違いです。何かをしてもらいたいのであれば、先にこちらが動く必要があります。「与えよさらば与えられん」、つまり自分が何かを得たいのなら、まずは他人に見返りを求めることなく与えるべきです。仮に自分から与えるだけで先方からの見返りがいつまでもないというのであれば、それまでの関係だということ。静かに関係を閉じればよいのです。
以前にあるプロジェクトに関わり始めた当初はまさに与える一方でした。私から情報提供をすることで地域の人と関係性を構築し、まずは認めてもらえるように努めました。一年経ったくらいの頃からはその関係性が力を発揮し始め、自然と仕事の輪が広がるように。まさに「与えよさらば与えられん」を実践したのです。
ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています
関連記事