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コラム

士業マーケティング 独立開業して4年目を迎えられた理由

中小企業支援に携わっていると、4年目を迎えられない事業者が多いとよく耳にします。士業も同じでしょう。せっかく国家試験に合格して資格を取得しても、その後の商売が軌道に乗らなければ廃業もあり得る厳しい世界です。4年目を迎えるためのポイントを書いてみます。

まず営業

士業は専門知識さえ持っていれば食べていけるような甘い世界ではありません。知識や資格を持っているのはあくまでスタートラインに立つまでの話であって、その後は事務所経営を成り立たせるための商いのセンスが求められます。

独立開業後に真っ先に取り組まなければいけないのが、営業です。ただし営業といっても「顧問契約をしてください」などと押し売りするのとは異なります。見込客の元へ足を運び、経営者や組織が抱えている困りごとを聞き出すのです。その困りごとを自分が解決できるのであれば、メニューを提示できることでしょう。

営業というと安直に売り込むことと勘違いしている人が非常に多いです。相手の事情も理解せずに売上を得ようとするこうした行為は、反対に嫌われるだけ。自分の身に置き換えればわかることなのに、いざ自分が営業しようとすると「顧問契約をしてください」とばかり連呼してしまう人があまりにも多いのです。

営業とは見込客と関係性を構築し、困りごとを打ち明けてもらう行為です。困りごとを打ち明けてもらえるまでの関係になるには、まず自分が何者かを開示しなくてはなりません。ホームページは絶対に必要ですし、プロフィールも充実させましょう。人はどこの誰だかわからない人と初めての取引をする気にはなかなかなれないものです。自分の価値を伝えられなければ、距離の近さと価格の安さだけで比較されてしまいます。

安く買い叩かれないように振る舞う

最初の仕事を受注しようとするあまり、価格を下げてしまうのはお勧めしません。その価格で事務所経営の持続可能性は担保されますか?この先も安い仕事を受け続ける覚悟はありますか?もしそうでないと考えるのであれば、歯を食いしばってでも適正な価格を維持しましょう。一度「安い仕事を受ける士業」というレッテルを貼られてしまうと払しょくするのは困難です。

適正な価格の根拠となるのが「独自の立ち位置」です。競合が持っていない価値を提供できれば、適正な価格を設定しても選んでもらうことが可能になります。自分の真の強みは何であるかを見極めて、独自の立ち位置を築きましょう。勘違いしてはいけないのが、知識と資格は独自の立ち位置にならないということ。見込客はまさか士業に得意不得意の分野があるなどとは思ってもいないので、特定の分野への知識の豊富さを訴求したところで理解してもらえないのです。

例えば私の場合は、江戸時代から続く家業を投資ファンドへ事業譲渡した経験、地方中小企業の経営経験、中小企業支援事例が強みになっています。他の士業がお金を出しても手に入れることのできない強みを持つことが、見込客に選んでもらえることに繋がっています。

スタートダッシュが重要

独立開業した直後は「開業したばかりの士業」という立ち位置を一時的に得られます。この立ち位置を最大限に利用しない手はありません。例えば、「開業したばかりなので近隣の会社様に挨拶に回っています」だとか、「開業したばかりなので挨拶状をお送りしました」だとか、「開業したばかりなので〇〇に困っている経営者さんを紹介してください」だとか。この時期だけ通用するセールストークを積極的に用いましょう。

私の顧問先もこの時期に契約してもらったところがほとんど。旧知の経営者を廻り、「独立開業しましたので、、、」と挨拶に回りました。すでに私のことを良く知ってくれている方ばかりだったので、うるさいことを言わずに顧問契約をしていただけたのはありがたかったです。

資格を取って、看板を掲げただけで見込客が列をなすなどということは起こりません。自分からドアノックし、見込客の困りごとを収集して廻りましょう。こうした営業ができればいつか必ず報われますし、反対に「営業はしたくない」などと言ってしまうようであれば、4年目を迎えることは難しいでしょう。

士業事務所の経営も立派な商売です。資格を取得した後には商いのセンスを磨きましょう。

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