「現役」にこだわる

現役かそうでないものを比べるとしたら、やはり現役の方が価値があるのです。
セミナー講師を選ぶなら「現役」優先
私がセミナーを企画し、講師を選定する側である場合、基本的には現役世代の人にお願いするようにしています。大企業を退職したあとに公的機関等で専門家登録しているような人も悪くはないのですが、やはり現役世代の人の方が話に臨場感があるものなのです。反対にシニア世代の人は、専門知識はもちろん持ち合わせているのでしょうが、どこかピントがずれてしまいがちです。
以前にあるセミナーを企画した時は、公的機関が勧めるシニア世代の専門家を講師に選びました。これが大失敗。講師に呼ばれたのがうれしかったのか、持ち時間の半分以上を費やして自己紹介をしてしまったのです。過去にどんな研究や製品開発をしていたかをだらだらと語り続け、案の定、本編は駆け足で済ませることに。質疑応答の時間も確保できず、参加者からはお叱りを受けてしまいました。この一例でもってシニア世代の講師がすべて悪いなどと乱暴なことを言うつもりはありませんが、現役かそうでないかを選べるのであれば、現役世代の人へ講師をお願いするのが自然な選択だと思うのです。
ある団体がシニア世代ばかりを講師などに登用しているのでそのことを指摘したところ、単純に予算の問題だと教えられました。大企業を退職し多額の退職金を手にしている人たちなので、生活のためだけに専門家登録しているとは限らず、公的機関の内規で定められている薄謝でも仕事を引き受けてくれるというのです。
創業を志す人についていけないスタートアップ専門家
ある小規模なピッチイベントを聞きに行った時、コーディネーターらしき立場の人は高齢の男性でした。地域では有名な某士業の資格も持つ人だそうですが、その日に限って言えば創業を志す人の会話についていけていませんでした。テック系の事業内容を適切に理解できないようで、質問などもどこかずれている始末。こんな仕切り役によって事業の良し悪しを決めつけられてしまう登壇者がかわいそうに思われてなりませんでした。
高齢の男性だからとひとくくりにするつもりはないものの、自分に理解できない何かが現れたら現実を受け入れる勇気が必要です。その勇気を持てなくなったら後進に道を譲るべきでしょう。公的機関などは一度外部人材に頼ると、長くそうした人物を重用しがちです。いちいち選定する必要がないから事務局側は楽なのでしょう。でも人は必ず1歳ずつ歳を重ねていくものです。だらだらと特定の人物に頼り切っていると、いつしか周りに迷惑を掛ける存在になってしまっているかもしれません。
そういう私も今年48歳になります。柔軟な思考や勉強し続ける気概が失われたなら中小企業支援に携わるべきではないでしょう。高齢男性が跋扈しがちな中小企業支援業界に身を置く者として、引き際は間違えないようにしたいです。

お年寄りに席を譲りましょう
経営者に敬意を持つ
中小企業支援をしているとたまに経営者に対して上から目線で接している人物に遭遇することがあります。何かを教えてやっているという意識を持っているからか、現役経営者に対してマウントを取るのです。そうした人物に限って自らは経営経験がありません。あったとしても、自身の事務所経営程度のレベル。現場で奮闘している経営者と比較できるレベルではなく、そうした人物が経営を語るのですから、時に滑稽ですらあります。
ある中小企業支援関係者を眺めていてびっくりしたのが、経営者と対話している時に足を組んで話していたことでした。私も姿勢が良いほうではありませんが、日本人で足を組んで誰かと話すなんてとんでもない無礼者です。そんな人物に欠けているのは経営者への敬意。口ではあれこれ言っていたとしても、現役経営者に対する敬意の欠如が態度と姿勢に表れてしまっていました。
中小企業支援に携わる者であれば現役の経営者への敬意は必須です。彼ら彼女らがいなくては仕事が成り立たない立場なのに、なぜか経営者を見下そうとする人が多いのはなぜでしょう。私は今でこそ中小企業支援に携わるようになって9年目ですが、元は京都の茶わん屋です。その原点を忘れずに、経営者へ敬意を持って接するように自分を律しているつもりです。
ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています
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