創業の相談を受けた時に考えること

先日から創業の相談を受けたり、セミナーを受講したりする機会が続きました。春だからでしょうか。私自身もいずれは何かに挑戦したいと考えていて、創業を志す人と話しているとうらやましく感じてしまいます。
創業の相談を受けたら背中を押すことにしている
先日、複数の方の創業の構想を聞く機会がありました。創業に関する相談を受けることは今でもたまにあるのですが、基本的には否定することなく後押しするようにしています。一度しかない人生でやりたいことが見つかったというのは幸せなことなので、ぜひその夢を実現してもらいたいと考えるからです。創業したこともない専門家らしき人がこうした夢の至らない点ばかりを指摘することがあるそうですが、私にはまったく理解できません。何事もできない理由を見つけるのは簡単なことで、無責任な行為なのです。
以前にある方をご支援した時は公的機関で相手にされず、私のところへいらしたそうです。「女性は家庭を大事にするべき」「そんなリスクを背負うことは勧めない」など言われたそう。家族から言われるならまだしも、創業を志す人の背中を押すのが仕事の人がそんなことを言ってどうするのでしょう。その方は私がお手伝いして、無事に事業を立ち上げることができました。特別何かをしたつもりではありませんが、ご本人からはとても感謝されています。
もちろん、筋の悪い計画についてはブレーキを踏むこともあります。借り入れができない事情があるのに借り入れを前提に話を進めていた方には、事情を説明し夢を断念させてしまったこともあります。過去のご本人の行動が原因なのでどうにかなるものではなく、私はただ現実をお伝えしただけ。無駄な時間やエネルギーを注ぎこまずに済んだはずですが、それでも私も悔しい思いをしました。
他人の創業計画について説明を受けた
あるセミナーを受講し、他人の創業計画について説明を受けたことがあります。ぼんやりとしたやりたいことはあるものの、それをどのように事業化するのかについてはまだ思考が足りない様子。商売の視点が弱いなと思ったら、案の定、大企業のサラリーマンの方でした。これまで大きな会社で歯車の一つとしてしか働いてきたことがないので、なにをどうすればお金が回り出すのかイメージが湧かないのでしょう。でも大丈夫。やりたいことがブレずに存在するのであれば、失敗を繰り返しつつどうにかなるのです。行動した者だけが見える景色というものは必ずあって、最初は地面をはいずり回るような思いをして苦労したとしても、行動し続ければ必ず道は拓けるものだと思っています。
そのセミナーで気になったのが、講師の言葉の引き出しの多さ。具体的には挙げられませんが、事業者が夢を実現するための勘所をさまざまな言葉を駆使して伝えていました。創業を志す人がつまらないところで躓いているからといって、誰かが代わりに作業をするわけにはいきません。第三者ができるのはアドバイスをするだけ。そのとき言葉が引き出しにたくさん詰まっていた方が、さまざまな角度から示唆を与えることができます。私は語彙が少ないと思っていて、その点、大変勉強になりました。

背中を押すのが仕事です
補助金に目がくらむ人とは感性が合わない
一方で地に足がついていない人へは支援をためらってしまいます。典型的なのが補助金に目が眩んでしまっている人。当初は純粋に夢を実現しようとしていたのに、資金が課題であることに気づき補助金の存在を知ってしまうと、たちまち思考を放棄してしまうのです。よく聞くのが「補助金をもらうためにはどうすればいいですか」というフレーズ。何かを実現するための補助金であるはずなのに、いつしか補助金をもらうことが目的になってしまっているのです。
他には「何か良い補助金はありませんか」というのもあります。制度や補助金情報なんて検索すればわかることです。そのわずかな手間も掛けずに、安直に他人に補助金情報を聞き出そうとする時点で情報収集能力の低さを露呈してしまっています。スマホが手元にあるのに検索をすれば分かることを聞くなんてもっとも嫌われる行為です。経営者として利害関係者と関係性を構築していくのに、基本的な能力を欠いているのではないかと考えてしまいます。
もちろん使える補助金は堂々と使えば良いのです。でも補助金はあくまで補助。自己資金だけでは何かに挑戦できない時に、補助として利用するものです。天から降ってくるお金のように勘違いしてしまう人があまりに多く、補助金が大好きな経営者とは率直に申し上げて感性が合いません。自分で稼いで投資するのが大原則です。
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