経営のダメージコントロール
コロナ禍で勝負に出たものの、手痛い失敗をした大幸薬品。
JPXの適時開示情報閲覧サービスによると、
同社が希望退職者を募集するそうです。
消費者庁からの再発防止命令
空気中の細菌やウイルスを除去できるとした「クレベリン」の置き型の広告には根拠がなく景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は15日、大幸薬品に再発防止命令を出した。
2022年4月15日 日本経済新聞
コロナ禍で勝負に出て増産した商品のPRが、
景品表示法違反に当たると判断されたものです。
ところで、現在、クレベリンのブランドサイト
https://www.seirogan.co.jp/cleverin/cleverin/
でぱっと目に飛び込んでくるのは、
「二酸化塩素分子のチカラ 特許登録番号第5593423号」
というキャッチコピーです。
J-PlatPatで特許番号を検索してみると、
発明名称は
「純粋二酸化塩素液剤、これを含有するゲル状組成物及び発泡性組成物」
となっており、
「保存安定性に優れ、二酸化塩素濃度を長期間、一定の範囲内に保持させることができる純粋二酸化塩素液剤を提供する。」
ものだそうです。
その二酸化塩素が新型コロナウイルスにどのような有効性があるかについては
「二酸化塩素による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する有効性」
https://www.seirogan.co.jp/medical/data/sars-cov-2.html
で説明されています。
不祥事にどう対応するか
私も家業を経営していた際に、
公正取引委員会から勧告を受けたことがあります。
仕入先との長年の取引慣行が、
下請代金支払遅延等防止法の趣旨に合致しないとのことでした。
その時の対応は
・公正取引委員会が調査に入っている期間は調査に全面協力し、
・かつ、当社の考えについては主張すべきをしっかり主張
・最後に勧告という行政処分が下された際は粛々と受け入れ、
・取引金融機関と社内には調査の過程と結果を漏らさず報告
・百貨店などの販売先にもきちんと報告
といったものでした。
結果、この行政処分によって目に分かる形で、
経営にダメージを受けることはなく、
逆に、不祥事対応について、
「隠すこと無く誠実に対応した」と、
お褒めの言葉を関係先からいただくこともありました。
大幸薬品の場合は、
時流に合致した商品のPRについて、
消費者庁から再発防止命令を受けてしまったわけで、
事後のダメージコントロールは誠実に行ない、
次に繋げてもらいたいなと思います。
ちなみに、私が当事者ならば、
「二酸化塩素のチカラ」と表記しておきつつ、
二酸化塩素がもたらす効果効能に関する特許と誤解させるような
特許番号を併記することは避けます。
まっとうな会社は強い
私が家業をなんとか存続させることができたのは、
先祖代々が「まっとうな経営」をしてきたからだと思っています。
不祥事や困難な状況に見舞われると、
安直な解決手段(と思われるもの)に逃げたくなるのが人情です。
しかし、
事業を存続させるなら真っ正面から困難にぶつかり、
誠実に対応するのが一番の解決策のはず。
その瞬間の経営者はみっともない思いをし、
場合によっては責任を取らされるかもしれません。
でもそれが本来の経営の役割。
「まっとうな経営」をする勇気。
私も顧問先の経営に関わっていますので、
引き続きこの勇気を持ち続けたいと思います。
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