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コラム

失敗談を話すと応援してくれる人が増えた

    地方中小企業の経営者をしていたとき、
    毎号楽しみに愛読していた連載記事がありました。

    敗軍の将、兵を語る

    会社で購読していた「日経ビジネス」誌。
    その連載のひとつに「敗軍の将、兵を語る」があります。

    どういう連載かというと、

    『挑んだものの道半ばで敗れた者や苦境に立ち失意の中にある者たちが、時に改悛し、時に来し方の戦術を振り返る。敗軍の将は兵を語らず。しかし丹念な取材で聞き出した証言は、次に挑む者たちの道しるべになるだろう。週刊誌『日経ビジネス』の名物連載。』

    というものです。

    つまり、経営に携わった方の失敗談を書いた連載ですね。

    私の場合、
    名のある経営者の成功談ではなく、
    どなたかの失敗談や苦労話の方が、
    心に響き、経営の参考になりました。

    それはなぜかというと、
    地方中小企業、特に業績の悪化し続けていた企業の経営者にとって、
    「踏んではいけない地雷」を避けることこそが、
    事業を存続させる確率を高めると考えていたからです。

    日経ビジネス_敗軍の将、兵を語る

    日経ビジネス「敗軍の将、兵を語る」

    自分が取材を受ける側に

    さて、そんな私ですが、
    江戸時代から続く家業を事業譲渡した後に、
    日経ビジネスの記者さんから取材依頼が入りました。
    「敗軍の将、兵を語る」で取り上げたいということでした。

    率直に言って、
    「困ったなぁ、恥ずかしいなぁ、みっともないなぁ」
    というのが最初に頭に思い浮かびました。

    家業を畳んで投資ファンドに事業譲渡した経験は、
    けして愉快なものではありませんでしたし、
    当時、自分からどなたかに話したいと思うこともありませんでした。

    しかし、
    経営者をしていた当時の自分が愛読していたことを思い返すと、
    「自分の経験がどなたかの役に立つならば」
    「あれだけ勉強させてもらったのだからお返しせねば」
    などと考えて取材を受けることにしました。

    当時の記事は以下のリンクからお読みいただけます(有料記事)。

    京老舗、顧客離れに抗えず 岡田 高幸氏[旧たち吉元社長]

    失敗談を語り始めると応援してくれる人が増えた

    こうして自分の体験が日経ビジネス誌に掲載されたわけですが、
    ありがたいことに様々なご縁が広がることに繋がっていきました。

    ・転職の面接担当者が事前に検索し、記事を読んでくれていた
    ・事業承継セミナーの講師に呼ばれるようになった
    ・その講演を聴いていた方に某大学の学長がいて、客員教授に推薦された
    みたいな感じです。

    人は自分が何者であるのかを説明する際に、
    ついつい保有している資格や成功体験について話してしまいがちです。

    しかし、それでは心の底からの共感は得られません。

    では何を話せばよいのか。

    誰もが経験していないような出来事、
    特に失敗談や悔しい経験を飾らずに語ることができれば、
    強い信頼と共感を得ることができます。

    失敗と共に歩んだ人生のストーリーが
    個性として認められれば、
    何よりも強い個人のブランディングに繋がります。

    ■今日の出来事
    買って一週間の自転車がパンクしてしまいました。

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