スピード感ばかりはどうにもならない

今日は土曜日なので、最近考えていることをつらつらと書いてみます。
無くなると困るもの
ちょうど1週間前に湯沸かしポットが壊れてしまいました。家族が使っていたら急に電源が入らなくなってしまったとのこと。3ヶ月ぐらい前に購入したばかりのもので、メーカーの問い合わせフォームから修理を依頼することにしました。保証期間内ということもあってか着払いで送ることができ、修理後はすぐに送り返してもらいました。その間、1週間。やかんでお湯を沸かしていたわけですが、湯沸かしポットと比べると時間がかかり不便なことこの上ありませんでした。
人は1度便利なものに慣れてしまうと、そこから後戻りするのは困難です。たった1週間でも毎朝がストレスで、お湯が沸くのに時間がかかるし、コーヒーを淹れるのに普段と勝手が違うしと、湯沸かしポットが早く返ってこないかと願ってばかりいました。
商売に置き換えると、自社の製品やサービスはなくなると困ってしまう存在になっているかどうかが大事です。何かあったときに競合が存在するのならば、顧客は簡単に乗り越えてしまいます。困り事を解決するはずの自社の商品やサービスが顧客になくてはならないものに本当になっているのかどうか、常に振り返る必要があります。
ある経営者は「困り事の解決」というのを常に口にしていますが、見込み客と対面で情報交換するとなるといつも尻込みしてばかりです。そのせいか営業成績は振るわず、思うように売り上げを伸ばすことができていません。商売をするからには、見込み客と向き合う姿勢は不可欠。対話を面倒くさがり、自分の思い込みで突っ走っていれば、いつしか顧客との間に溝が生じてしまいます。
スピード感ばかりはどうにもならない
中小企業支援に携わっていて、何が歯がゆいかと言うと、せっかく知恵とアイデアを提供しているのに、経営者の取り組むスピードが絶望的に遅い時です。さっさと見込み客の元へ足を運べば良いのに、提案資料を作成することに無駄に時間をかけてしまったり、セミナーを開催すると決めたらさっさと集客に走らなければならないのにチラシの作成に無駄に時間をかけたり。
そんな経営者には、やんわりと中小企業らしいスピード感を持つように促すのですが、理解していただけないことがほとんど。最近では、経営に必要なスピード感というのは、特定の経営者に備わる天性のものなのではないかと思い始めています。スピード感に欠ける経営者に何を言ったところで理解してもらえることはなく、他の角度から支援するしかないのでしょう。
経営の当事者はあくまで事業者自身です。支援に携わる者は外からあれこれ、知恵とアイデアを提供できるだけ。時に徒労感を感じることもありますが、それは中小企業支援にはつきもの。でもやはり私も人間です。いつまで経っても行動しない事業者を相手にしているよりは、拙速は巧遅に勝るとばかりに速やかに行動してくれる事業者との対話を好みます。またそれよりも、いつかは自分が経営の現場に戻りたいなと考えてしまいます。

経営のスピード感って重要だと思います
知人のSNSのアカウントが乗っ取られた
先日、知人のSNSのアカウントが乗っ取られていました。当然ながら連携するアカウントもすべて乗っ取られ、うさん臭いメッセージが私のところにも届きました。いかにもその方が書かないような文面だから気づいたものの、もっとさりげない内容だったらうっかり返信してしまっていたかもしれません。こうしたことは誰にでも起こり得るわけで、2段階認証を設定するなどして守りを固めておく必要があります。つい最近では証券会社のログインが2段階認証になりました。それまではIDとパスワードだけでログインできていたので、今から考えたら不用心な状態でした。
また年度初めのこの時期に、某運送会社や電力会社を装ったスパムメールも多数届いています。迷惑メールに登録しても違う発信元から何度も届き、まったくうっとうしい存在です。こんなのに引っかかるかと思っているうちは良いのでしょうが、いつか歳を重ねて油断したときに騙されてしまうのかも知れません。警察関係の知人ですらも、「いつか自分も騙されてしまうと思う」と言っていたくらいなので、それだけ悪い奴らが跋扈しているのでしょう。
世の中、一定の割合で邪悪な人々が存在します。そうした人々が消えていなくなることなど無くて、存在するのを前提に身を守らなければなりません。かつての家業で会社や先輩に守られながら働いていた頃は、そうした話はどこか他の世界の出来事のように思っていました。しかし、中小企業支援家に転身し初めて外の世界で働き始めてからは、それまでの人生では想像できなかったような「悪い奴ら」が至る所にいることに驚かされました。奴らは自分より弱い存在を常に探しているので、毅然と対応することが重要。無駄な労力を割かれることにはなりましたが、被害を防ぐためにはこちらも戦わねばならない場面が何度もありました。
平和が一番ですが、だからといって守りを固めていないと悪い奴らに付け込まれてしまいます。平和な現状に油断せずに、打てる手は打って身を守りましょう。
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